弥生、オリックスと組み「金融サービス」へ 岡本社長に中長期的な戦略を聞く
前編はこちら→ 弥生はなぜ、オリックス傘下に入るのか。
――弥生とオリックスとの連携イメージはどのように考えていますか。
オリックスが持っている最大の強みはやはり金融です。そこと弥生の顧客のニーズをうまく組み合わせていけないか、と考えています。
たとえば、アマゾンはマーケットプレイスの出店者向けに貸し付けを始めました。これは、出店者の受注状況などをすべて把握し、貸し倒れリスクを判定できるからこそ実現しているわけです。弥生も、見積書とか受注といった業務をお手伝いしていますから、顧客の事業活動の内容がわかる。そして、顧客の資金ニーズが高い時期も見えている。そこにわれわれが新たな金融サービスを提供することができると考えています。
資金ニーズがないところに対して売り込むといったように、われわれが貸したいから貸すのではなく、顧客が必要とする時に提案できる新たなメニューを用意するのがわれわれのやり方になる。ここにオリックスとの連携メリットがあるわけです。
顧客に大きなメリット
中小企業は、資金繰りが厳しくなったという場合には、銀行巡りをしなくてはいけないというのがこれまでのパターンでしたが、そこに弥生から、カスタマーセンターを通じたり、ソフトウエアを利用しているなかで、「どうですか」と、金融サービスの提案が行われることは、顧客にとって大きなメリットが生まれることになります。そして、弥生の顧客に対しては、利率を低くして提供するといったことや、独自に貸し倒れリスクを考慮した上での貸し付けも可能になる。
ものすごく具体的な話をしましょう。個人事業主は、青色申告した場合の方が、65万円の特別控除があるなど、税制上のメリットがありますが、金融機関におけるローンの審査の際には、この65万円の所得がなかったとみなされる場合が多く、結果として、審査が通らないという例も発生しています。このように、今ある仕組みは、個人事業者の実態にそぐわないものが多いと私は考えています。個人事業主であることを前提に、営業実績があるということがわかれば、それを考慮した個人事業主の実態にあわせた新たなサービスを提供するといったことも可能になります。
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