弥生、オリックスと組み「金融サービス」へ 岡本社長に中長期的な戦略を聞く

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実はこの姿勢からもご理解いただけると思うのですが、オリックスグループの良い面は生かしていきたい。しかし、すべてをオリックスグループに染めるということは考えていません。弥生の社員が出張時に使用するホテルやレンタカーも、経済合理性があればオリックスグループのものを使うが、それが無ければ別にオリックスグループのものにはこだわらない。その姿勢は、すべての判断のなかで生かされる基本的なスタンスだと考えています。

――オリックス側から、なにか要望されていることはありますか。

ひとつあげるとすれば、私が長く社長を務めるということです。具体的に何年という縛りはないですが、私と社員を含めたパッケージであることが、条件となっています。

これまで以上にスピードをあげていきたい

――今後のことで懸念していることはありますか。

あえてあげるとすればスピードでしょうか。これは、オリックスグループ入りするから、というものではないのですが、これまで以上にスピードをあげていきたい。様々なメリットが想定されるなかで、それをどれぐらいのスピードで、安心していただける品質を持った形で、新たなサービスとして生んでいけるのかといったことが大切です。

また、弥生は今回の買収後、オリックス側にいる企業なのか、それともお客様側にいる企業なのかということを試されると思います。その点でもスタンスは、お客様側であるということを明確にしたいですね。弥生としての独立性は、維持していきたい。

1978年の創業以来の弥生の歴史を振り返ってみますと、合併したり、株主が変わったり、社名が変わったりということを経てきましたが、今回のオリックスによる買収によって、ようやく「安住の地」に辿り着いたともいえます。弥生が今後10年、20年に渡って、価値を提供し続けることができる体制が整い、顧客のお手伝いをしていく体制ができたと考えています。いちばん重要なのは、存在し続け、つねに頼っていただける存在であることです。

その点でも、今回の買収によって、安定的な株主構成、資本構成が実現できたといえます。私自身も、新たな株主を探すこと、あるいは上場準備という仕事がなくなりましたから、もっと現場にタッチすることができます。量販店店頭に立って、販売支援を行うといったこともやりたいですね。ただ、あんまりやりすぎると現場から嫌がられちゃうもしれませんけどね(笑)

(撮影:風間仁一郎)

大河原 克行 ジャーナリスト

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おおかわら かつゆき

1965年、東京都出身。IT業界の専門紙である「週刊BCN(ビジネスコンピュータニュース)」の編集長を務め、2001年10月からフリーランスジャーナリストとして独立。IT産業を中心に幅広く取材、執筆している。現在、ZDNetの「大河原克行のエンプラ徒然」(朝日インタラクティブ)、PC Watchの「パソコン業界東奔西走」(Impress Watch)、クラウドWatch、家電Watch(以上、Impress Watch)、ASCII.jp (KADOKAWA)、日経トレンディネット(日経BP社)などで定期的に記事を執筆。著書に、「ソニースピリットはよみがえるか」(日経BP社)、「松下からパナソニックへ」(アスキー・メディアワークス)、「図解 ビッグデータ早わかり 」(中経出版)など。

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