JR東日本の株主が、利益よりも重視するもの

鉄道会社にとっての株主総会の意義とは?

大きく紛糾することもなく、すべての議案が可決され、ほぼ2時間で終了した。株価が堅調で配当もきちんと出ている限り、株主総会は公共交通としての機能をチェックする場といえそうだ。今回の総会における株主からの主な質問とJR東日本側の回答は、以下のとおり。

「安全を担保したうえでの効率化だ」

議長を務めた冨田哲郎社長(画像はモニター越し)

――山手線の電化柱倒壊事故の再発防止策は?

現場では電化柱の傾きを確認していたが、危険だという認識が薄かった。事故後に電化柱25万本とワイヤー8万6000カ所を点検して、倒壊のおそれがないことを確認した。

今後は、同様の設備を「特殊構造設備」として具体的なリスクを検討するとともに、本社内に電力技術管理センターを設置して技術支援を強化する。

――かつて8万人いた従業員は、合理化で5万1000人まで減った。安全=マンパワーではないのか。

安全を担保したうえでの効率化だ。安全教育については鉄道技術の継承を目的とした「技能教習所」を各地に整備しており、白河市に設置した「事故の歴史展示館」では事故について体感させている。

――震災前は仙台―八戸間を「リアス・シーライナー」が時速100キロで走っていた。ぜひ復活させてほしい。

山田線(宮古―釜石間)は鉄道として復旧させる。もちろん従前の速度が出せるように復旧する。気仙沼線と大船渡線はBRT(バス高速輸送システム)による仮復旧という形で運行している。今後どう復旧するかについては、地元と協議していく。

――海外の人をどう東北に呼び込むのか。

日本を初めて訪れた外国人観光客は、どうしても京都に行ってしまう。だが2度目、3度目と日本に来る人には、本来の日本の魅力が残っている東北を訪問してもらいたい。夏祭りや雪をアピールしていきたい。

――北陸新幹線の金沢開業はJRの収入にどのくらい貢献しているのか。今後は利用客をどう増やすか。

長野の善光寺ご開帳や朝ドラ「まれ」の効果もあり、今年度の増収効果は300億円程度。今後は首都圏―北陸の相互交流の活性化や佐渡、飛騨といった広域観光の拡充で利用者を増やしたい。東京からの所要時間は京都と変わらないので、インバウンドの京都観光の何割かを北陸に仕向けたい。

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