異例の盛況ぶりは、会社の株主還元方針に対する不満の現れでもあるのだろうか――。総合商社大手の丸紅は6月19日、午前10時から約2時間にわたり東京・千代田区のパレスホテルで第91回定時株主総会を開いた。
昨年8月に最低投資単位を1000株から100株に引き下げたことから、株主総数は個人株主を中心に前年の14万3517名から19万3690名と大幅増。来場者数も前年の1660人から3057人と倍増し、同じホテル内に異例の第2会場を設けての開催になった。
取締役12名を選任する第1号議案、監査役1名の選任に関する第2号議案とも承認された。経営陣と株主とのやり取りは、社外取締役や監査役に対する質問から、2014年度に減損損失を出した米穀物大手ガビロンの今後の戦略、米国利上げへの対応まで多岐にわたったが、特に目立ったのは、伸び悩んでいる株価と株主還元方針に対する発言だった。
同業他社は年初来高値を更新
「マーケットどおりに丸紅(の株価)だけが評価されていない」「ほかの大手の商社と比べて、はなはだ丸紅の株価が劣っている」――。こうした株主の発言に会場内は拍手が沸き起こった。
原油や金属の市況下落により、2014年度の総合商社は軒並み資源関連の減損を強いられた。ただ、足元では原油相場が底を打ち、日経平均株価の回復とともに商社株は「出遅れ割安銘柄」として見直され、丸紅を除く大手商社は5月に年初来高値を更新した。その中で、丸紅だけは年初以降、足元も1株=700円強で伸び悩んでいる。予想PER(株価収益率)も6.8倍と、ライバルの総合商社の8~12倍に比べて差が開いている。
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