丸紅の株価が低迷している3つの要因とは? 株主からの指摘に要因分析を披露

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國分文也社長は「株価が低いという厳しい意見を率直に受け止めたい」としたうえで、「3つの要因がある」との認識を語った。1つ目が、巨額の減損損失を計上した2014年度の業績下方修正。2つ目が、同業に比べて見劣りする配当性向(20%)の引き上げを2015年度は見送る予定としていること。3つ目が、2015年度の純利益計画が1800億円と事前の市場予想を下回ったことだ。

とりわけ、同業他社と比べて目に付くのは株主還元だ。従来から掲げている配当性向方針どおり、5円減配の通期21円という減配計画を丸紅が出したのに対し、伊藤忠商事は2015年度からの新中期経営計画で3期連続の過去最高額の配当更新を公約。住友商事も新中計で年間最低50円の通期配当下限額を設定し、配当を維持した。

資源事業への依存が高く2015年度も減益を見込む三井物産は、予想配当性向が48%になるにもかかわらず、2014年度と同じ64円配を維持。三菱商事も業績連動で減配計画だが1000億円の自社株買いを行うなど、資源安の逆風下でも株主還元の積極方針を打ち出している。その分、丸紅の株主還元の見劣りが際立つ格好だ。

株主還元の見直しは来年度以降

丸紅の現状について、國分社長は「収益力の拡大には手応えを感じている」とする一方、「財務基盤の強化についてはまだ道半ば。特に同業と比べて営業キャッシュフローが弱い」との認識を吐露した。

そこで、まずはネットDER(有利子負債比率、長期の支払い能力を測る指標)を1.6倍(前年度実績は1.72倍)に改善し、フリーキャッシュフローの黒字化を達成することを、今年度の最優先目標とした。その一方で、配当性向の見直しを含めた株主還元方針の策定は、2016年度から始まる次期中計へと先送りした。

「(今期純利益計画の)1800億円はミニマムな数字。上積みを出して還元したい」と株主に理解を求めた國分社長。はたして結果を示すことができるか。株主からの圧力はこれまで以上に強まっている。

秦 卓弥 東洋経済 記者

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はた たくや / Takuya Hata

流通、石油、総合商社などの産業担当記者を経て、2016年から『週刊東洋経済』編集部。「ザ・商社 次の一手」、「中国VS.日本 50番勝負」などの大型特集を手掛ける。19年から『会社四季報 プロ500』副編集長。21年から再び『週刊東洋経済』編集部。24年から8年振りの記者職に復帰、現在は自動車・重工業界を担当。アジア、マーケット、エネルギーに関心。

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