ポール与那嶺氏語る「日本企業が世界で戦う鍵」 ポール与那嶺さんにインタビュー(後編)

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下手な英語でも構わない。コミュニケーションをとって、もっと仲間意識を高めていこうと。今のビジネスは売ったり買ったり、投資したり投資されたりが中心になりがちです。

日本とアメリカはそれ以上の関係にならないといけないですよね。これこそがダニエル・イノウエ上院議員が目指したことでした。

ハワイと日本の協業を進めたい

―――現在、ハワイ州知事の特別顧問としても、精力的に活動されているそうですが、ハワイと日本の間で具体的な連携のイメージはありますか。

2023年は、羽田空港とハワイのダニエル・K・イノウエ国際空港の提携で、羽田空港内でハワイの商品を集めたポップアップ店「アロハマーケット」を開催し、大盛況でした。

今後も定期的に開催していく計画があります。そして、2025年以降になりますが、羽田や成田などの主要な空港内でハワイを訪れる日本人が事前に入国審査ができる制度を導入しようと、動いているところです。

それと、ホノルル市内で鉄道ができつつありますが、駅周辺の都市開発、住宅開発、エネルギー事業の開発などで、ハワイとしてもっと日本と協業し密接になる必要があると考えています。

ポール与那嶺 ハワイ 日本
ポール与那嶺(ポール・ヨナミネ)/1957年東京生まれ、米国公認会計士。サンフランシスコ大学卒業後、ピート・マーウィック・ミッチェル会計事務所に入社。1999年KPMGコンサルティング社長、2005年ホノルル市長特別顧問を務め、06年日立コンサルティング社長兼CEOに就任、10年から日本アイ・ビー・エム専務、副社長を経て15年に同社社長に就任。米日カウンシル理事長など様々な要職を歴任、現在セントラル パシフィック バンク名誉会長、ハワイ州知事特別顧問のほか、三井住友銀行、セブン&アイ・ホールディングスなどで社外取締役を務める(写真:筆者撮影)

―――どのような開発ニーズがあるのでしょうか。

ハワイの喫緊の課題は住宅価格が高すぎることです。土地があるのになぜこんなに住宅が高いのか。オアフ島では土地面積の8%しか使われていなくて、残り90%は更地です。農地もあれば環境面で保護している土地もありますが、基本的にインフラが整っていません。

今回ようやくできる鉄道は20駅あって、一度乗ればすぐにわかると思いますが、(沿線は)土地だらけです。鉄道をベースに各駅周辺の住宅、ホテル、観光開発で新たなコミュニティーをつくり分散していけば、不動産価格の問題やオーバーツーリズムの問題もまだまだ解決していけると思うんですよね。

ハワイの企業はつねにアメリカ本土に行ってゼロから学ぼうとするのですが、日本を見習ってできる政策があると思うのです。みなさん同じことを考えているとは思うのですが、誰にお願いすればいいのか、誰と会えばいいのかわからないわけですよ。そこをつなぐことができないか、そう考えています。

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