ポール与那嶺氏語る「日本企業が世界で戦う鍵」 ポール与那嶺さんにインタビュー(後編)
―――日本経済は失われた30年ともいわれますが、今、円安が進み、海外から投資が向かう流れにあります。現状をどうご覧になっていますか。
日本は全世界ベースで今いちばん魅力的な国だと思います。安全安心で安くて食事もおいしく、サービスは最高で、インフラがうまく機能して、不動産も高くないですし、投資先としては魅力的ですよね。欧米の金利が高いので、それに比べると安い。世界的にこれほど素晴らしい国はないわけですよね。
ただ、今後、海外から投資がいっぱい日本に入ってくるときに、日本の社会がどう変わっていくのか、ものすごく心配しています。
海外の投資家が入ることで完璧な資本主義になるわけですから。四半期決算経営で株価はつねに上がっていかないといけないというメンタリティーになる。お客さんや社員のことも大事だけど、株主のほうに向かなければならなくなります。
でも、社員を守ってお客さんにもいいサービスを提供していこうという日本的な企業経営の考え方を、海外からの投資家に破壊してもらいたくないですよね。株主のいいなりにならないようにするにはやはり、企業として強くなっていかなくてはいけない。
日本の企業も上場していればグローバルで売りに出しているわけですから、今こそ、企業としてもう一段、グローバルという観点でマインドセットを変えて、日本人としての自信やプライドを持ちながら走り出す時期に来ていると思います。
走りながら、間違っていたら方向転換
―――守ることと攻めること、両方大事だということですね。
私も若い時期には能力のある投資家や企業に対してこういうコメントは言いづらかったのですが、これまで経験を積んできたので、思うところがあります。経営とはいえ、やはり人間として暮らしていかなくてはいけない。日々の生活を荒らすような結果になってもらいたくないですよね。
だから(投資と経営の)バランスは大事だと思います。日本ではまだ、「グローバル化」ということに対してアレルギーのある人も少なくないと感じます。
しかし、インターネットもグローバルですし、海外からの旅行者も多いので、すでにどう見てもグローバルなんです。そこを踏まえて動かないというのは間違った選択だと思います。走りながら工夫して、間違っていれば方向転換すればいい。
必要なことの1つは、特に欧米からの投資がものすごく入りますから、外国人と同等にビジネスができるような根性を持ったビジネスパーソンが絶対必要になってくると思います。
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