「幸福(幸せ)」という言葉は「資格を取得すること」「結婚すること」「新しい家を手に入れること」など、具体的な目標の達成に結びつけて考えられがちです。
しかし、これらの目標を達成したとき、私たちは本当に「幸せ」を感じるでしょうか?
一時的な達成感や満足感は確かにあるでしょう。
でも「幸せ=目標の達成」であるならば、幸せは目標を達成した瞬間に終わってしまいます。
幸福とは、瞬く間に終わってしまうものなのでしょうか?
私たちは、ある目標を達成した瞬間、すぐに次の目標に目移りし、また別の未来のことを考えてしまいます。
よく「馬の目の前にニンジンをぶら下げる」と表現することがありますが、幸福はまるで私たちにとってのニンジンのようです。
しかし、幸福は未来の目標ではありません。幸福とは目標や結果ではなく、取り組み方、いわば人生への姿勢なのです。
「良い人間であるのは難しいが、良い行いはできる」のと同じで、「幸せである」のは難しくても、「幸せになる」ことは可能なのです。この違いは微妙ですが、非常に重要です。
就職できても、なぜか幸せになれない理由
私の友人、Fの話をしましょう。彼の求職活動についてです。
Fは以前、求職活動をしていました。Fは私に電話をしては、つらい、つらいとこぼしていました。彼によれば、「求職活動はマラソンよりもずっとつらい」のだそうです。
「マラソンは、ゴールがハッキリしている。でも求職活動は、明日終わるかもしれない。ずっと終わらないかもしれない。毎回、面談前に『これで終われるかもしれない』と思いながら臨み、ダメならまた振り出しに戻る。毎回その繰り返しで、毎日が地獄。就職さえ決まれば天国なのに」
私が彼の求職活動を手伝うことはできません。
でも、少しでも役に立てるならと、彼の愚痴を聞いてあげていました。
そうするうちに、彼の就職が決まりました。
私は心から「おめでとう」と言いました。
でも、電話の向こうの彼の声は沈んでいます。