60代女性が「持たない生活」で見出した極上の喜び 「大量の洋服」を手放したところから始まった
「地域の方々との共通点はそこに自宅があるということだけ。個人的な事情に深く首を突っ込んでくる人はいないので、気を使いすぎず、“ちょうどいい距離感”で付き合えるのがありがたいです。
地域ではお互い、肩書なしの“素”の人間同士で話せます。数年に1回しか会わない友人より、近くの人との関わりが今とても楽しいです」
年齢を受け入れたら世界が広がった!
「実は50代のころ、漠然と年をとるのが嫌だったんです。特に美容にこだわるタイプでもなかったんですが、それでもだんだん見た目が変わって、体力も落ちてくることが悲しくて……。60代になったとき『女の人生が終わったんだ』とガッカリしたことを覚えています」
年齢を受け入れられず、沈んでいた気持ちを明るくしてくれたのが娘の言葉だった。
「コロナ禍にマスクをした写真を娘に送ったら『お母さん、きれいだね』って言ってくれたんです。
マスクでシワが隠れていましたし、お世辞かもしれないけれど、言葉にして褒めてもらえたことが素直にうれしくて。初めて『60代でもいいんだ』って、気持ちがストンと落ち着きました」
周りをよく見れば、60代、70代に見えない女性はたくさんいた。「60代は60代なりに生きよう」と決め、持ち前の好奇心と行動力で3年前からYouTubeチャンネルを開設。知識ゼロから独学で動画撮影・編集を始め、今では登録者数1.5万人に。
「もちろん失敗もありましたが、励みになるコメントを視聴者さんにいただいたり、雑誌の取材で若い人たちと出会ったりと、YouTubeを始めてから新しい交流が生まれました。年齢を受け入れ、シニアライフを楽しむことで世界が広がったように感じています」
今は迷惑をかけない「自分のしまい方」も見据えている。
「年齢的にも終活に向かうタイミング。身の回りの物を減らすことは、子どもたちに負担をかけないためにも大事なことです。
私がいなくなったときに『お母さんってすっきり暮らしていたんだね』と、子どもに言ってもらうことが、私にとっての最高の人生のゴールだと思っています」
取材・文/釼持陽子
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