「不適切にも」とブラッシュアップライフの共通点 命を守るために、過去を変える物語になるか?
この第3話で市郎は、昭和のお色気バラエティのセクシー路線に「女性はみんな自分の娘だと思え。娘に言えないことは言うな。できないことはするな」と唱え、それは令和のセクハラに対しても向けられていた。
第4話では、令和でスマホを持った市郎がSNSにハマる姿から、SNS依存の滑稽さと、おじさんが陥りがちな勘違いを客観的に見せた。
そんな第4話のラストで投げかけられたのが、第5話への不穏なフリだ。
渚は市郎に会わせたい人がいると話し、父・犬島ゆずる(古田新太)を紹介するが、ゆずるは市郎を「おとうさん」と呼ぶ。
渚は以前、母は阪神・淡路大震災の年に亡くなったと話していた。もしゆずるの義理の父が市郎であれば、市郎の娘・純子(河合優実)はすでに亡くなっていることを示しているため、SNSを騒然とさせた。
物語のトーンが変わった第5話
そして2月23日に放送された第5話では、その予想どおりの展開となった。ただ、純子だけでなく、市郎も一緒に亡くなっていたのだ(詳細についてはっきりとは語られていない)。
第5話で物語のトーンがこれまでと一気に変わった。市郎と顔を合わせた渚とゆずるは当初、2人が亡くなっていることを隠そうとするが、市郎は渚の話を思い出して、純子が亡くなっていることを察する。
しかし、動揺することも悲嘆に暮れることもなく、純子と渚のビデオを温かい目で見たり、子どものころの渚を抱いてやれたことに喜び、温かい笑顔を浮かべる。令和社会に物申す、これまでの暑苦しい昭和のおじさんの姿はなかった。
そうなると、第4話までのミュージカルシーンもない。これまでは、昭和の名曲をモチーフにアレンジした歌で、市郎が踊りながら声高に令和社会への昭和人のメッセージを伝えていたが、第5話はミュージカルの形だけは残ったものの、市郎はほぼ参加していなかった。
そしてなにより、タイトルに絡まない内容のまま、第5話は終わった(昭和社会にいる令和人のサカエ(吉田羊)による、昭和の進学指導の適当さやPTA費のずさんな管理へのツッコミはあったが、ラストのミュージカルはメッセージには絡んでいない)。
後半に差し掛かる第6話からのストーリーがどちらに向くのかは、まだわからない。
気になるのは、タイムリープものの王道である、命を守るために過去の出来事を変える物語になるのではないか、ということだ。
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