「不適切にも」とブラッシュアップライフの共通点 命を守るために、過去を変える物語になるか?
昨年1月期に話題になったバカリズム脚本の『ブラッシュアップライフ』(日本テレビ系)は、事故で死んだ主人公が自分の人生を生き直すコミカルな物語であり、主人公がタイムリープするという点では『不適切にもほどがある!』との共通点がある。
だが、『ブラッシュアップライフ』は後半から、同級生を乗せた飛行機の墜落を防ぐために何度も生き直すサスペンスストーリーへと一転した。
それまで楽しく見ていた視聴者を驚かせるとともに、突然のシリアスな展開がより物語へと引き込み、登場人物たちに共感を抱かせた。同時にコミカルな要素は損なわないところが、バカリズムのうまさだった。
一方、昨年10月期の深夜枠で人気を得たタイムリープドラマ『時をかけるな、恋人たち』(関西テレビ・フジテレビ系)では、過去を変えてはいけないために、起こった出来事は変えずに、そこに関わった人たちの心が少しでも救われるように駆け巡るタイムパトロール隊員たちの奮闘が描かれた。
そこでのエピソードで、突然亡くなった妻の死は変えられないけれど、過去に戻って、亡くなる前に思いのたけを伝える夫の話があった。悲しい事実は変わらないが、そのあとを生きる人の心には小さな救いが残る。未来を知っていても事実(死)を変えられない切なさ、つらさに胸が締めつけられるが、その思いはいまの生き方を考えさせることにつながっていた。
『不適切~』は、王道を踏襲するのか?
『不適切にもほどがある!』は、タイムリープの法則や過去の事実の可変に対するルールがはっきりしていない。しかし、あれだけ人気になった『ブラッシュアップライフ』がやったばかりの王道を踏襲することはないと思われる。
変化球的だったが切なさと温かさを内包した『時をかけるな、恋人たち』ともまた異なる、新たなタイムリープの定番となるような展開が生み出されることが期待できるかもしれない。
また、クドカンはこれまでにもNHK朝ドラ『あまちゃん』で東日本大震災、NHK大河ドラマ『いだてん』で関東大震災に触れており、震災を伝えることを意識している。本作での純子と市郎の死に阪神・淡路大震災がどう関わったかも、これから描かれるかもしれない。
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