食べログ逆転勝訴の決め手「別ロジック」の波紋 独禁法の「精鋭弁護士」は戦い方をどう変えた?

ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

原告の焼き肉店のようにサクラを雇わずに高評点だった飲食店でも、その評点の根拠となっていた有力レビュアーの口コミの影響度が引き下げられると、つれて店の大きく評点も下落するケースがある。

食べログは定期的にアルゴリズムの見直しを行っているが、今回の別ロジックも影響度調整の一環だという。食べログ側は2審でこの前提を裁判官に説明したうえで、こう主張した。

「今回の訴訟で問題となっている2019年5月のアルゴリズム変更の要素は主に2つある。①チェーン展開している店舗の認知度の調整(チェーン店ディスカウント)と②レビュアーの影響度の調整(別ロジック)だ。焼き肉店側は①の影響で評点が下がったと訴えているが、実際に下がった要因としては不正防止のための②の方が大きく、①の影響はほんの一部である」

このような議論は1審でもまったくなかったわけではないが、食べログ側の立証が不十分だったのか、判決文ではほとんど触れられていない。

アルゴリズム変更の合理性

焼き肉店側は裁判の過程で、詳細なアルゴリズムが開示されていないとして、この別ロジックの存在自体を疑問視している。しかし高裁は食べログの主張を採用し、今回のアルゴリズム変更全体を「合理性がある」「一般消費者である食べログ利用者の評点に対する信頼を確保するために行われたもの」と判断した。

加えて高裁は「(原告の焼き肉店と)評点が下落しなかった飲食店と比較して、どの程度来店人数等が減少しているのかは明らかでない」「飲食店市場における競争機能に直接かつ重大な影響を及ぼすとまでは認めがたく、その影響は限定的」などとし、不当と断じられるほど不利益が大きいとはいえない、と焼き肉店側の主張を退けた。

次ページ地裁と高裁判決には共通点もある
関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事