10浪「農工大」夢を諦めた彼を救った"ある存在" なぜ獣医の夢に方向転換?5浪目のある出会い

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国公立大学の入学辞退を決めたレトロプリンさんは、精神面がだいぶ快方に向かっていたこともあり、ついに大きな勝負をかけます。彼は10浪目に、河合塾の九大医進アドバンストコースに通い、本格的に勉強を開始します。

この1年にかけていた彼は、今までジワジワと成績を伸ばしつつも成績が伸びきらなかった理由を「分析の甘さ」と考え、振り返ることにしました。

「1年が始まる3月に、5年間受け続けてきた模試をひたすら分析しました。すると、毎回数学で同じ分野を間違えていることに気づけたんです。だから、基礎を身につけなければならないと考えて、3月から6月にかけて、数学の黄チャートをひたすら反復して、すべて終わらせました」

今までもすでに数学の偏差値は65程度あったそうですが、この1年に懸ける彼の熱量はすさまじいものがありました。「精神的に落ち込まないように筋トレもしながら、朝から晩まで予備校にこもって勉強を重ねていた」彼のこの1年の様子を見て、長い浪人生活に疲れていた彼の両親も、少し安心したようです。

「朝起きたら授業行って復習して、18~19時くらいまで勉強してから帰宅し、料理を作って、風呂を洗い、洗濯や掃除や犬の世話なども必要なときには行い、20時から復習をして、24時には寝るようにしていました。

親は自分が東京で1人暮らしができるか心配していたので、勉強をしていない時間も『心配いらないな』と思ってもらえるように動いていました。なんとか自分の力で人生を前向きに生きようと思えた1年間でした」

東京農工大についに合格をはたす

東京農工大の模試の判定はC~B判定が多く、A判定は取れませんでしたが、彼は確かな手応えをつかんでいたそうです。

センター試験本番では7割程度と失敗したそうですが、2次試験対策をバッチリしていた彼は自信を持って出願し、見事に東京農工大に合格しました。

「試験が終わってすぐ、受かったなと思いました。この1年に懸けてきたので、戦略通り受かって安堵しました」

こうして10年にも及んだ浪人生活を終わらせたレトロプリンさん。彼に浪人をしてよかったことを聞いてみると、「人生を俯瞰して見られるようになった」、頑張れた理由については「ポジティブだったから」と答えてくれました。

「体調を崩し、長い間実家にいたことで、本当に自分の好きなことや、したいことを模索し、見つけることができました。自分は小さい頃から頑固でこだわりが強い人間でしたが、自分はやればできるんだという思いが心のどこかにいつもあったので、周囲にどう思われても『自分はできるんだ!』って思っていました」

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