レトロプリンさんは福岡に生まれ育ちました。小さいころから知的好奇心のある子どもだったようで、小学校で『ダレン・シャン』や『アルジャーノンに花束を』を読んでいたそうです。
「小学校・中学校のときは静かな子どもだったので、ほぼ一人で過ごしていた気がします。中学に上がってからはずっと勉強をしていて、中学2年までに中3までの内容を終わらせる気概で、勉強していました」
塾にも通いながら受験勉強をし続けた彼は、中学生活を勉強に捧げたこともあり、高校受験でギリギリ九州の最難関高校に合格し、進学します。順風満帆の人生かと思われますが、高校進学以降、彼の人生は大きく変わり始めます。
「高校に入ってから、中学までずっとよかった成績がどんどん下位のほうになりました。2年生のころには170~180人のうち、下位1割に落ちてしまいました」
彼の成績が中学時代より悪くなった理由として、学校のレベルが上がったこともあるようですが、人間関係に悩んだことが大きかったそうです。
「自分は人に嫌われていると思うことが多くなりました。日中、相手のことについて『なんでこの人は自分を嫌いなんだろう?』と思いを巡らすことが多く、つらい思いをしていました」
高2・高3では友達ができるようになり、思いを巡らすことは減ったそうですが、高1のときに悩んだことがきっかけで、精神科医になりたいと彼は強く思い始めます。
「もともと自分は小さい頃から頑固でこだわりが強いところがあったので、それで人間関係のいざこざを起こしていた部分はあったと思います。だから、自分の(性格が)悪いとか、自分を変えたいという思いが強くなり始め、人の気持ちがわかり、手助けができるような精神科医になりたいと思ったのです」
ドクターストップで現役での受験を断念
しかし、高校卒業間際には、受験なども加わった複合的な要因でメンタルを崩し始めていたようです。かかりつけの精神科医の支えもあり、なんとか学校に通って卒業することができましたが、無理して受けたセンター試験の点数は、5割を少し超える程度。
センター試験以降の受験も「大学を受けられる精神状態じゃない」と判断した医師によりドクターストップがかかり、現役での受験は断念しました。
現役での大学は受験せずに終えたレトロプリンさん。それでも、精神科医になるという夢のためには医学部に行く必要があったため、「やむをえず」浪人を決断します。
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