ものをいうのは読書量!古典を「センチ単位」で読め ビジネスエリートが実践する驚きの読書法

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佐々木さんは数学科出身だから頭は切れる。非常に論理的に考え、話すことができる。それでいてなお、アメリカのMBAで学び世界の金融の最先端であるニューヨークでしのぎを削ってきた。世界の舞台では「教養がないと仕事はできない」と痛感したようだ。「歴史や哲学や科学は、先の読めない変動の大きなグローバル化時代に先を照らす松明のような役割を果たしてくれる」と口酸っぱく言っていた。

数学科出身の佐々木さんは何でも計算する。彼は大学時代、図書館の本棚の幅をメジャーで測って365で割り、1日に何センチの本を読めば、図書館の棚を読破できるか計画を立てたという。「よし! 今日は15センチ。明日は週末だから30センチ読むぞ!」と決めて、あらゆる本を日々読み続け、大学を卒業する頃には図書館の主な書物を、すべて読み通してしまったという。

世界の古典をセンチ単位で読む

佐々木さんの指導は、まさに教養重視のリベラルアーツカレッジのようなものだ。暇さえあれば常に読書をする癖をつけてくれた。それからというもの私は、『孫子』に、『ローマ帝国衰亡史』に、宗教に、宇宙、遺伝子に……学問の基となる古典の本を、片っ端から読み出した。佐々木さんのやり方にならい、厚さを測って図書館の本を乱読した。なかには超つまらない本もあるが、それらは流し読み。流し読みでも若いうちはけっこう頭に入っていくものだ。雑学王のようになってきた。

そこで読んだチャールズ・ダーウィンの『種の起源』、ルキウス・アンナエウス・セネカの『人生の短さについて』、ニッコロ・マキアヴェリの『君主論』、アダム・スミスの『国富論』などは、後にどこでも役立った。時代を超えてサバイバルしている本は、賞味期限数年のベストセラーと違う。中身も格式も段違いに素晴らしく、その全編を貫く朽ち果てない理論や本質はあらゆる物事に応用可能だった。

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