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視察殺到!無印良品「マニュアル」の中身 良品計画「成果を出す仕組み」は毎月更新

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  • 遠藤 功 シナ・コーポレーション代表取締役
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遠藤 功(えんどう・いさお) 早稲田大学ビジネススクール教授、ローランド・ベルガー会長。早稲田大学商学部卒業後、三菱電機、米国系戦略コンサルティング・ファームを経て現職。早稲田大学ビジネススクールでは、経営戦略論、オペレーション戦略論を担当し、現場力の実践的研究を行っている。 また、欧州系最大の戦略コンサルティング・ファームであるローランド・ベルガーの日本法人会長として、経営コンサルティングにも従事。

松井:さすが、鋭いご指摘ですね。確かに、「もっと、こうすればいいのに」というアイデアを持っている社員はいても、日々の仕事に追われたりして、当初は改善提案がなかなか集まりませんでした。

遠藤:私も「良品集会(全国の店長や本部スタッフが集まる)」に参加させていただき、改善活動で成果を上げた店舗の話を聞いて、その大変さがわかりました。

松井:精力的かつ地道な活動の積み重ねが必要になりますから。

遠藤:私が印象に残っているのは、3つの観点から「見える化」を推進した店舗の取り組みでした。まずは、「顧客視点」「改善提案」「店内改善」の3つのテーマ別に、簡単に記入できるシートを用意してメモ書きで残す、と。

松井:あれは、比較的ヒマな時間帯をカレンダー上で事前に決めておき、パソコンで集中して改善提案を入力する、という事例でしたね。

遠藤:あとは、改善提案へのスタッフ同士の温度差を埋める試みも、とても印象的でした。提案件数をグラフにして張り出し、スタッフの競争意識やゲーム感覚を刺激するとか。「人の本能に働きかける」いい着眼点だと思いました。

店舗運営マニュアルの定着には約5年かかった

遠藤:店舗運営マニュアルを定着させるのに、どれくらい時間が必要でしたか?

松井:約5年です。当初3年間は我慢して続けたら、そのマニュアルで育った店長が全店舗の半数を超えました。その時点で効果をようやく実感し、「これは使える!」という納得感が現場に生まれてきました。

遠藤:「定着した」と言えるには、その時点から、さらに2年が必要だったわけですね。しかし、新しいマニュアルを作る前に、「朝の挨拶」から始まる「社風改革」があったことを考えれば、簡単な道のりではありません。

松井:マニュアルの運用状況を視察に来られた企業が、その後、新たなマニュアルを導入されても、現場に定着させるのに苦労されているところが多いようです。

遠藤:裏返せば、無印良品のマニュアルが、いかに貴重な成功事例かということですね。松井さんがよく言われる「マニュアルに血を通わせる」ために、膨大な時間と労力を費やしてきた成果ですから。

松井:あと面白いのは、ウチを辞めた人間が、「(2つのマニュアルが)とてもいい仕組みだった」と、転職先で宣伝してくれたことです(笑)。

それがきっかけで、当社に視察に来られる企業さんがけっこういらっしゃいますから。

遠藤:元社員にそこまで愛着をもってもらえれば、松井さんもマニュアル導入の提唱者冥利に尽きますね(笑)。

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