松井:ほかには、「新規出店の可否を判断するためのマニュアル」もあります。
遠藤:新規出店の可否は「ベテラン社員の経験や知識が欠かせない」というイメージが一般的には強い業務ですね。
松井:そうですね。しかし、候補地を評価したり出店時の売り上げを予測したりする「マニュアル」があり、それに必要な一連のデータを入力すれば、誰でも出店の可否を判断できるようになっています。
遠藤:それも2000ページある「店舗運営用マニュアル」の1項目ですか?
松井:いえ、それは「本部の業務用マニュアル」の1項目で、それは全体で約6600ページあります。
遠藤:2000ページの「店舗運営マニュアル」に加えて、6600ページの「業務用マニュアル」ですか。それだけでも驚きですが、良品計画のマニュアルの特長は、その両方のマニュアルが、それぞれ「定期的に更新されている」ことですね。
松井:ええ、どちらのマニュアルも、現場で使う人たちが問題点を見つけ、自分たちがより使いやすく改善できるようになっています。
現場の知恵を反映して毎月更新される
松井:店舗現場での気づきや知恵を吸い上げる仕組みとして、まず「改善提案」があります。これは、店舗で働いているスタッフの気づきや提案をパソコン入力するもので、年間提案件数が約5000件あります。
遠藤:その中で毎月、マニュアルに反映されるのが平均20~30件あるわけですね。年間で240~360件。5年間で1200~1800件ですから、かなりダイナミックに更新されていくイメージです。
松井:もうひとつが「顧客視点シート」ですね。店頭でお客様からいただいたご意見などから、スタッフが必要だと思ったことを入力する仕組みです。そちらは年間1万件近く寄せられ、業務やサービスの改善に生かされています。
遠藤:しかし、それだけの提案件数を集めるには、現場で働く人たちが本気で考える必要がありますね。日々のルーティンワークもあるでしょうから、両方の仕組みを定着させるには、かなりの苦労があったんじゃないですか?
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