無印良品、課長以上は「朝8時」から挨拶当番! 「奇跡のV字回復」を支えた社風改革

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「挨拶」で社風を変えた、良品計画の取り組みをご紹介します(写真提供:良品計画)
『現場力を鍛える』『見える化』などのベストセラーがある遠藤功氏が、昨年11月に出版した『現場論 「非凡な現場」をつくる論理と実践』が、発売20日で3万部を突破しました。
「日本企業の強さは現場力にある」という視点から、現場力を鍛える仕組みがわかりやすく書かれた1冊で、「私の職場でも応用できるヒントを見つけた」「現場で働くことが楽しくなった」などの声が、読者から多数届いています。
今回から2回にわたり、『現場論』のケース事例でも紹介した、「無印良品」ブランドを運営する「良品計画」の松井忠三(ただみつ)前会長との対談を掲載します(対談は会長時代に行われました)。
2001年、松井社長が就任して「社風を変える」ために始めた「朝の挨拶当番」、それがもたらした絶大な効果を解説します。

赤字38億円からの「奇跡のV字回復」

33刷15万部のベストセラー&ロングセラー『現場力を鍛える』の衝撃から10年。その後の全エッセンスが詰まった10年間の集大成、ついに発売!本書を読めば、どの現場も必ず強くなる。現場にかかわるすべての人に、役立つ1冊。

遠藤:「無印良品」ブランドを運営する良品計画は、業績がすこぶる好調ですね。営業収益が対前年比17.1%増の2206億円(昨年度)。小売業で2ケタの営業利益率は驚異的です。

松井:私が社長に就任した2001年は、8月中間期に初めて38億円の赤字でしたから、感慨深いですね。当時、あるアナリストからは「一度ダメになった専門店が復活したことはないので、頑張ってください」と皮肉られたくらいなので。

遠藤:まさに「奇跡のV字回復」ですね。赤字体質から脱却するにあたって、不採算店舗のリストラよりも、あらゆる業務を徹底的に「マニュアル化」することにこだわったようですね。

松井:そうですね。ただ、社風が違う他社のマニュアルをまねて作っても、当社の現場には定着させられませんでした。働く人たちの意識や考え方、要するに「社風」を変えないと、優れたマニュアルだけを導入しても組織は変わりませんから。

遠藤:社風を変えるというのは、最も重要ですが、最も難しいことでもありますよね。

松井:そうですね。そこで始めたのが「朝の挨拶当番」です。社風を変えるには、まずは挨拶から変えることにしました。朝8時から会社の1階玄関で、出社してくる社員に挨拶を始め、私自身、会長になってからも月に1回はやっていました。

遠藤:すごい。松井さんも「挨拶当番」をしていたんですね。

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