赤字38億円からの「奇跡のV字回復」
遠藤:「無印良品」ブランドを運営する良品計画は、業績がすこぶる好調ですね。営業収益が対前年比17.1%増の2206億円(昨年度)。小売業で2ケタの営業利益率は驚異的です。
松井:私が社長に就任した2001年は、8月中間期に初めて38億円の赤字でしたから、感慨深いですね。当時、あるアナリストからは「一度ダメになった専門店が復活したことはないので、頑張ってください」と皮肉られたくらいなので。
遠藤:まさに「奇跡のV字回復」ですね。赤字体質から脱却するにあたって、不採算店舗のリストラよりも、あらゆる業務を徹底的に「マニュアル化」することにこだわったようですね。
松井:そうですね。ただ、社風が違う他社のマニュアルをまねて作っても、当社の現場には定着させられませんでした。働く人たちの意識や考え方、要するに「社風」を変えないと、優れたマニュアルだけを導入しても組織は変わりませんから。
遠藤:社風を変えるというのは、最も重要ですが、最も難しいことでもありますよね。
松井:そうですね。そこで始めたのが「朝の挨拶当番」です。社風を変えるには、まずは挨拶から変えることにしました。朝8時から会社の1階玄関で、出社してくる社員に挨拶を始め、私自身、会長になってからも月に1回はやっていました。
遠藤:すごい。松井さんも「挨拶当番」をしていたんですね。
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