ロシアが西側の圧力に屈しないのは、ロシアの周りに、ロシアの仲間の国々が多くいることである。インド、トルコ、中国、イランなどの大国は、ロシアの仲間である。
一国の経済力は、友好国の存在を抜きに語れない。人口、技術、生産力など、こうした友好国との生産システムが構築されているからである。かつてソ連下ではコメコン諸国内での分業があったが、それと同じようなものが今築かれつつある。
国家と国家との戦争は、1対1に限ったわけではない。周りにいる友好国が何らかの形で参加していれば、その国は強い。まして強い農業と工業に欠かせない原料や燃料をもち、実際にものをつくる工業力をもつ国が周りにあれば無敵ともいえる。
EUは安定した経済圏なのか
そもそも16世紀から始まる西側資本主義はかつてこうした、無敵のシステムを構築していた。西欧諸国によるアジア・アフリカの支配は、原料と燃料を一手に押さえ、ブロック経済圏なるものをつくっていた。
西欧の経済の背景にアジア・アフリカの後背地があり、そこでその国にないものを生産していたのである。宗主国といわれる西欧諸国は、植民地といわれるアジア、アフリカを抜きにして繁栄することはなかった。
それから数百年が立ち、西欧諸国の原料供給基地であった植民地は、独立し、産業も発展し、かつてのように西欧に盲従することはなくなっている。今では、西欧諸国の手を借りないで経済発展ができるところまで来ている。
確かに今でも、アジア・アフリカの国々のドルベースでのGDPは高いとはいえないが、たいていのものを作る技術はすでにもっている。海外貿易にドルを使わず、アジア・アフリカの通貨を使えば、ドルベースで計算するよりも、GDPは当然高くなるであろう。
ロシアや中国の最近の強さは、まさにこうしたアジア・アフリカの非ドル通貨圏の環をもっていることである。今は、ドルで世界の経済力のランキングを測れなくなっているともいえる。
西欧と東欧は今ではEUによって統一されているように見える。そこにウクライナなどが入ることで安定した経済圏をつくろうというわけだが、本当にそうであろうか。
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