任天堂創業家「終戦宣言」、東洋建設が冷静な理由 1年半にわたる「ファミコン戦争」が残した教訓

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建設業の歴史に刻まれるであろうファミコン戦争は、日本の経済界にどのような教訓を残したのだろうか。

YFO側の取締役が過半を占めるにもかかわらず、東洋建設が反対を決議したのは「異例」と全国紙は報じている。しかし、これまでの経緯をつぶさに見ると、ハイブリッド体制による腰を据えた対応は異例ではなく、むしろガバナンス(企業統治)において「王道」だったことがわかる。

「本来、取締役はそうあるべき。特定の大株主に忖度するのではなくて、すべての株主に利益となる判断をする必要がある。東洋建設の新体制は、ガバナンスのありかたにおいて、ある種のお手本になった」(太田弁護士)

「これからが大事」

YFOが、変革の乏しい建設業界に新しい風を吹き込んだのは確かだ。大株主が異業種の知見を持つ人材を経営者として送り込み、その新体制で成長戦略を遂行し、ガバナンスも再構築していく。

建設分野の熟知者が経営陣を占めることの多い建設業界において、ハイブリッド体制はひとつの経営形態として、他社にも広がっていくかもしれない。

東洋建設はこの先、洋上風力事業を軸にした中期経営計画を推し進めていく。300億円を投じて、ケーブル敷設船を建造(2026年完成予定)する算段だ。2025年までは、配当性向100%方針も継続する。「中計は必達目標だ。これからが大事」(東洋建設の幹部)。

ハイブリッド経営の真価は、これから試されることになる。

梅咲 恵司 東洋経済 記者

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うめさき けいじ / Keiji Umesaki

ゼネコン・建設業界を担当。過去に小売り、不動産、精密業界などを担当。『週刊東洋経済』臨時増刊号「名古屋臨増2017年版」編集長。著書に『百貨店・デパート興亡史』(イースト・プレス)。

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