任天堂創業家「終戦宣言」、東洋建設が冷静な理由 1年半にわたる「ファミコン戦争」が残した教訓
感情論が先行していた印象のある最初の反対表明に対して、今回は透明性のあるプロセスを踏んだ。
東洋建設は社外取締役7人で構成する特別委員会を立ち上げ、提案を検討。特別委員会は東洋建設が2023年3月に発表した5カ年の中期経営計画と、YFOが新たに提示した企業価値向上策を定量的に比較し、「当社中期経営計画が企業価値向上策を相当程度上回っている」との答申を12月14日に出した。
その答申を受けて、同日に行われた取締役会において、YFO側の役員を含む取締役全員の一致により、TOB提案への反対を決議した。
「東洋建設はTOB提案が出されてから、短すぎず、長すぎもしない3カ月後に反対を表明した。一定のビジネスデューデリジェンス(事業性評価)もしたうえで、企業価値向上策を検討した。外部から見ても、手順を踏んだことが客観的にわかる対応だった」。6月の株主総会まで会社側のアドバイザーだった太田洋弁護士(西村あさひ法律事務所)は、そう話す。
当面、大株主として保有継続か
結局、東洋建設の反対表明に対して、YFOは12月20日に「現時点においては1255円を超える水準の提案価格を提案することは難しい」と、TOBの取り下げを発表した。
YFOはもともと、長期的な成長や企業価値向上を目指した投資を基本としていることもあり、当面は大株主として、東洋建設株を保有する可能性が高い。
東洋建設の株式を約20%保有するインフロニア・ホールディングスは、「当社は20%の株主であることは変わらない」(岐部一誠社長)としており、これまで通りシナジー創出に向けた取り組みを進める意向だが、現時点ではYFOの持つ東洋建設株を引き受けることはなさそうだ。
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