任天堂創業家「終戦宣言」、東洋建設が冷静な理由 1年半にわたる「ファミコン戦争」が残した教訓
「終わった。これですっきりする。会社として、いい方向に行く」。東洋建設の幹部は安堵の表情を浮かべた。
ついに、「終戦宣言」が出た。
任天堂創業家の資産運用会社「ヤマウチ・ナンバーテン・ファミリー・オフィス(YFO)」は12月20日、マリコン大手の東洋建設へのTOB(株式公開買い付け)を取り下げると公表した。2022年5月に買収の意向を示してから交渉を続けていたが、買収の前提となる会社側の同意を得られなかった。
これ以上は「ことを荒立てたくない」
これに先立つ12月14日には、東洋建設がYFOのTOB提案に反対することを決めていた。YFOの提示した企業価値向上策が不十分なうえ、1株1255円という買い付け価格が低いことも反対の理由とした(12月14日の終値は1301円)。
YFOは今年9月に、TOB価格を従来提案の1株1000円から1255円に引き上げ、買い付け開始を12月下旬とする修正案を出していた。
YFOはこの先、敵対的なTOBを仕掛けるといった強引な行動に打って出ることは考えにくい。YFO側は「(これ以上は)ことを荒立てたくない」との姿勢であることが、関係者から漏れ伝わってくる。
YFOは東洋建設の株式を約28%保有する大株主に当面変わりはないが、‟ファミリー”オフィスとマリ‟コン”大手が2022年5月の前後から2023年末の1年半にわたって繰り広げた「ファミコン戦争」は、これで終結した。
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