WiiUは、一家に一台・家族全員が遊ぶデバイス、ソフト会社との連携も強化--岩田聡・任天堂社長
娯楽の世界はつねに競争です。今までと同じことをやっていては、お客さんは同じ価値を認めてくださらない。
より手軽な代替手段ができたり、昔よりも時間がなくなったり、といった要素の中で、今までの成功体験に倣った方法論でただゲームを作るだけだと、こちらが期待するほどお客さんに届かないということは起きている。家庭用ビデオゲームだけではなくあらゆる娯楽を提供する企業は今、そこを乗り越えなければならない状況にあります。
僕らの仕事って、基礎的な需要が保証されていないんですよ。
30年前はビデオゲームがなくても誰も困らなかったわけです。ですから今こういう市場があるから10年後も同じ市場があるという前提ではいけないので変わり続けなければいけない。何か目新しいことを提案していかなくちゃいけないという視点で、つねにその方法を探しています。
■任天堂はファミコン時代からソーシャルだ
--今、業界で話題になっている、ゲームの「ソーシャル性」について今日(6月7日)のプレゼンでフォーカスしなかったのはなぜか。
私は、任天堂はずっと昔からソーシャルをやっていると思っているんですよ。
初めてのゲーム機だったファミコンに2つコントローラがあって代わり番こで遊んだり、コントローラを奪い合って遊んだりしていたことは、紛れもなく「家族の中のソーシャル(交流)」。ポケモンが流行った理由も、「人が人を誘う」というソーシャル性以外の何ものでもない。WiiもDSも(人が人を誘うことによって)広めていただいた。
だから、今「ソーシャル性」に皆が焦点を当てて騒いでいる理由がよく理解できない。今日のプレゼンでなぜソーシャルに焦点を当てなかったかと問われれば、「任天堂はずっと前からソーシャルをやっているんですよ」という答えになると思います。
--これまで任天堂はネットワークと一定の距離感を保っているように見受けられたがいかがか。
06年9月にWiiの発表をしたときから、「ゲームとテレビとインターネットの関係を強くしたい」と言ってきました。