人事が知らない「適所適材」「適材適所」の決定的差 社員1人ひとりの志向を把握するのが重要
組織が求めているのは「適所適材」ですが、人事の想いや愛は「適材適所」。どちらかに偏らず、その両面から働きかけることが人材配置のとても大事なポイントです。
社員1人ひとりの志向を把握しよう
「適所適材」か「適材適所」か。これはいろんな考え方があると思いますが、少なくとも人事は適材適所から発想すべきです。そのためには、社員1人ひとりの志向を把握しておくことが重要です。このまま今の仕事を続けたいのか、異動したいのか、個々の想いや願いを知っておく。個人の志向を把握する方法は、いろいろあります。
代表的な方法は、異動や転籍、将来のキャリアの希望などを社員が自ら企業側に伝える「自己申告制度」。あるいは、社員が自ら自分が希望する部署に経歴・能力・実績などを売り込んで異動や転籍が認められる「フリーエージェント制度」。社員1人ひとりと面談してヒアリングしてもいいですし、普段の何気ない会話から知る方法もあるでしょう。
方法論は何でも構いません。大切なのは、社員1人ひとりの意志を知ること。本人が機嫌よく仕事をしているのなら、そのまま置いておいたほうがいいかもしれませんし、マンネリになっていたら、違う仕事をさせたほうがいいかもしれません。それぞれがどうしていったらいいのかを一緒に悩むことが、人事担当者の大事な役割なのです。
短期的に見ると、異動をさせないほうが個々のパフォーマンスは上がります。やったことのない仕事をすれば、当然パフォーマンスは下がりますよね。そういう意味では、異動を少なくしたほうが短期的には個人の成果や会社の生産性は向上しやすくなりますが、中長期で見たらどうなのかということもよくよく考えとおかないといけません。
50人100人の会社であっても、いずれ経営を担える人材がいたりするものです。そういう人は異動を繰り返し、視野や経験の幅や広げたほうが将来のためになるでしょう。一方、その部署で専門性を高めていったほうが、本人のためにも、会社のためにも良い場合があります。人事はそういうところもよく見て、配置を考えていかなくてはなりません。