マンション管理人不足を解消"代務員"90代も活躍 シニアの"手を借りる"ぐらいがちょうどいい
1人あたりの月間平均勤務日数は10日程度というから、無理なく働けそうだ。このように「うぇるねす」のビジネスモデルは代務員を求める管理会社と、働きたいアクティブシニアのマッチングサービスだと言える。
管理会社と「うぇるねす」、代務員の情報のやりとりはWEBを通じて行われる。このうち、代務員は専用アプリの入ったスマホで、現場トラブルの情報共有や出退勤、業務報告などをする。
アプリ自体も使いやすいように工夫されているため、懇切丁寧な指導によって全員が使いこなせるという。また、仮に現場での解決が難しいトラブルが発生すれば、管理会社や「うぇるねす」の社員が対応する。
私たちには「シニアはデジタル弱者」というイメージがあるが、機能を限定し使いやすい仕組みにすれば支障なく業務に活用できるわけだ。
働くことによる安心感
一方、アクティブシニアといってもやはり高齢者。健康面での懸念がつきまとう。そのための配慮として「エリア会」という横のつながりが設けられており、定期的にその単位ごとに集まり、情報交換や助け合いを行っている、とのことだ。
代務員は1人で現場に行き作業する、という孤独な立場であるし、近年、1人暮らしの高齢者も増えている。
仕組みの下で仕事をし続けていれば、社会から孤立することなく暮らしていけるだろう。そのような安心感が理由で、代務員の仕事を選んで働いている人も多いようだ。
気になるは業務の質だが、どのようにして技量や知識を高め、維持しているのだろうか。それを確認するため研修会にお邪魔したのだが、そこで筆者はアクティブシニアのパワーに圧倒されることになった。
というのも、研修会場ではキビキビ、真剣に研修に励む人たちの熱気が充満していたからだ。
研修中だからというのもあるのだろうが、筆者のような現役世代でもここまで実直に取り組めるだろうかと、ただただ圧倒されるばかりだった。
前出の下田氏は「人は生き甲斐や緊張感、そして仕事の対価を得ることが大切。そこに喜びを見いだせる人なら100歳であっても働ける」と胸を張る。なお、下田氏自身も80代である。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら