茅ケ崎?茅ヶ崎?混同する「ケ・ヶ」表記の謎を解く 駅名と自治体名が一致しない例も少なくない

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そもそも手書き時代の文書はケの大小が判別しにくい。ケに限らずひらがな、カタカナは漢字より小さく書く傾向があるため、伝統的な明朝体、ゴシック体でも字体は小さめで「ケ・ヶ」の見分けはつきにくかった。それが近年になって「ゴナ」「ナール」といったスペースいっぱいに広がったフォントが目立つようになり、それで大小の差が少しばかり顕在化したのかもしれない。

町名にカタカナの「ガ」を使う町もある

自治体によっては町名にカタカナの「ガ」を用いる例もあり、神奈川県鎌倉市の町名では由比ガ浜、稲村ガ崎、七里ガ浜と表記するのが正式で、江ノ島電鉄の由比ヶ浜駅、稲村ヶ崎駅、七里ヶ浜駅とは異なっている。市が管理する施設なども同様で、由比ヶ浜(自然地名)に面した「由比ガ浜海水浴場」や「鎌倉海浜公園由比ガ浜地区」といった具合だ。

駅名と町名、自然地名で表記が異なる七里ヶ浜と稲村ヶ崎。鎌倉市内の町名は「ガ」で統一されている。地理院地図(陰影起伏図透過率80%)令和4年11月8日ダウンロード

関西では兵庫県宝塚市が「ガ」で統一しており、泉ガ丘、桜ガ丘、長寿ガ丘など数多く、すみれガ丘、花屋敷つつじガ丘などひらがなとガの混在も見られる。「ふじガ丘」の表記などにはだいぶ違和感もあるが、慣れるものだろうか。鎌倉市と宝塚市の「ガ」の大半は昭和40年代の住居表示の実施を機に誕生した。

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今尾 恵介 地図研究家

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いまお けいすけ / Keisuke Imao

地図研究家。1959年横浜市生まれ。明治大学文学部ドイツ文学専攻中退。(一財)日本地図センター客員研究員、日本地図学会「地図と地名」専門部会主査などを務める。『地図マニア 空想の旅』(集英社インターナショナル、第2 回斎藤茂太賞受賞)、『今尾恵介責任編集 地図と鉄道』(編著、洋泉社、第43 回交通図書賞受賞)、『日本200 年地図』(監修、河出書房新社、第13回日本地図学会学会賞作品・出版賞受賞)、『地名崩壊』『地名散歩』(どちらも角川新書)、『地図帳の深読み』(帝国書院)、『地図バカ』(中公新書ラクレ)、など地図や地形、鉄道に関する著作多数。

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