そもそも手書き時代の文書はケの大小が判別しにくい。ケに限らずひらがな、カタカナは漢字より小さく書く傾向があるため、伝統的な明朝体、ゴシック体でも字体は小さめで「ケ・ヶ」の見分けはつきにくかった。それが近年になって「ゴナ」「ナール」といったスペースいっぱいに広がったフォントが目立つようになり、それで大小の差が少しばかり顕在化したのかもしれない。
町名にカタカナの「ガ」を使う町もある
自治体によっては町名にカタカナの「ガ」を用いる例もあり、神奈川県鎌倉市の町名では由比ガ浜、稲村ガ崎、七里ガ浜と表記するのが正式で、江ノ島電鉄の由比ヶ浜駅、稲村ヶ崎駅、七里ヶ浜駅とは異なっている。市が管理する施設なども同様で、由比ヶ浜(自然地名)に面した「由比ガ浜海水浴場」や「鎌倉海浜公園由比ガ浜地区」といった具合だ。
関西では兵庫県宝塚市が「ガ」で統一しており、泉ガ丘、桜ガ丘、長寿ガ丘など数多く、すみれガ丘、花屋敷つつじガ丘などひらがなとガの混在も見られる。「ふじガ丘」の表記などにはだいぶ違和感もあるが、慣れるものだろうか。鎌倉市と宝塚市の「ガ」の大半は昭和40年代の住居表示の実施を機に誕生した。
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