茅ケ崎?茅ヶ崎?混同する「ケ・ヶ」表記の謎を解く 駅名と自治体名が一致しない例も少なくない

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伝統的に「ヶ」を小さく扱ってきたのが地図の世界で、特に戦前の地形図では顕著だ。

一ノ宮、四ツ谷、千駄ヶ谷などの助字「ノ・ツ・ケ」は漢字のサイズ(字高)に比べれば半分から3分の1程度に過ぎず、字間を広くとる場合に助字は本字に隣接して記され(昭和10年の『地形図図式詳解』によれば「註記ノ右腰或ハ左腰ニ之ヲ書スル」と規定)、「八ヶ嶽(やつがたけ)」でいえば「八ヶ」と「嶽」の2字として扱われている(図を参照)。

戦前の地形図に見る八ヶ嶽の表記。助字「ヶ」は陸地測量部(国土地理院の前身)の規定により小さく右腰部に付けた表記となっている。1:50,000「八ヶ嶽」昭和4年要部修正

要するに漢字の読みを助けるための、漢文に付ける「返り点」やルビなどと同様の扱いだったようだ。

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今尾 恵介 地図研究家

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いまお けいすけ / Keisuke Imao

地図研究家。1959年横浜市生まれ。明治大学文学部ドイツ文学専攻中退。(一財)日本地図センター客員研究員、日本地図学会「地図と地名」専門部会主査などを務める。『地図マニア 空想の旅』(集英社インターナショナル、第2 回斎藤茂太賞受賞)、『今尾恵介責任編集 地図と鉄道』(編著、洋泉社、第43 回交通図書賞受賞)、『日本200 年地図』(監修、河出書房新社、第13回日本地図学会学会賞作品・出版賞受賞)、『地名崩壊』『地名散歩』(どちらも角川新書)、『地図帳の深読み』(帝国書院)、『地図バカ』(中公新書ラクレ)、など地図や地形、鉄道に関する著作多数。

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