「退職代行サービスを使いたくないな…」当初は抵抗あった40代女性が5万5000円を支払って辞めた事情

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退職代行サービスの使用したことがある田中さん(仮名)(写真:筆者撮影)
社会的に注目されている「退職代行サービス」。「仕事をすぐ辞める“責任感のない若者”」――そんな印象で利用者について語られがちな退職代行だが、ハラスメントやメンタル不調で追い詰められた人には文字どおり命綱になるケースもある。
退職代行業者による情報発信を除くと、利用者自身の声は意外と少ない。本連載では、退職代行サービスで会社を辞めてから一定期間が経過した当事者に取材。なぜ退職代行を利用するに至ったのか、その後の人生やキャリアをどのように切り拓いているのか掘り下げる。
前編記事「『よくも俺を裏切ったな!』高価なプレゼントを断ったら社長が"豹変"…育休明けの40代女性が退職代行サービスを使わざるをえなかった理由」に続いて、田中さんが退職代行サービスの利用を決断するまでの様子をお届けする。

労働基準監督署や警察署に相談して安全を確保

田中さんの就業環境は育児休業を終えた後に悪化した。社長から好意を寄せられるようになり、それを断ると会議室で「「命令に逆らいません」という主旨の念書にサインを求められた。

「このままではまずい」と思った田中さんは労働基準監督署へ電話をかけた。すると相談に適した部署を紹介してもらったため、改めて連絡。その日にあったことを説明した。

「小さな企業なので内部通報の制度もありませんし、ひとりで抱え込むこともできませんでした。担当してくれた方に相談したら『パワハラですね。記録に残します』と言ってくださって。ホッとしました」

ひとまず安心したものの、根本的な解決には至らない。「自分で解決するしかない」と思った田中さんは外回りの営業時間を活用して退職する方法を探っていく。ある日は日本司法支援センター(法テラス)に無料の相談を受けに行き、ある日は安全を確保するために警察署に赴いた。警察署では親身に対応してもらえたことで安心感を抱いた。

「オフィスと家があまり離れていなかったんですよね。個人情報を会社に渡していますし、本当に怖くて。担当した警察署の方は『パトロールを強化するので何かあったら電話してください』と言ってくれました。うれしかったです」

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