「退職代行サービスを使いたくないな…」当初は抵抗あった40代女性が5万5000円を支払って辞めた事情

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小規模な企業の場合、退職代行を利用すると「損害賠償請求をする」と迫られることもある。田中さんの場合、そういうことはなかったのだろうか。

「裁判を起こして、負けたらわたしの弁護士費用も払わないといけなくなりますよね。資金力のある会社であれば、そういうことをするかもしれませんが……。計算できる社長の性格と企業の規模を考えるとそこまでやらないだろうと思いました」

田中さんに対して直接連絡することもなかった。ただ、退職後に身に覚えのない請求書が届くなどの小さなトラブルはあった。退職代行の担当弁護士に相談すると「無視してもいい」と言われた。それ以後、書類が送られてくることはなかった。

「弁護士に依頼していたのが功を奏しました。もしひとりでやっていたら退職できていなかったと思います。それに退職することだけを目標にしたのもよかったです。相手を追い詰めずに済んだので、こちらを追ってくることもありませんでした」

退職を伝えられない人にとって「退職代行」はひとつの選択肢

新しい職場では以前のようにスポーツチームのような切磋琢磨し合う環境で営業に取り組めている。給与は固定給ではなく成果連動に変わったが、顧客に合った商品を販売できるようになった。営業の仕事だけでなくセミナー講師など働く幅も広げているという。

「やりたいことを実現できていますし、いろんな人と関われるようになりました。年収はあまり変わらないんですけど、労働している時間は30%くらい減りました。ただ、営業の仕事は自分に合っているので長く続けていきたいですね。会社を起こすこともちょっと考えていますし、もっと新しいことに取り組んでいきたいです」

ビジネスパーソンとして活躍する田中さんは未来を見据えて働いている。退職代行を使ったことについてはどのように思ったのだろうか。質問すると少し間を置いて答えてくれた。

「『このサービスを使いたくないな……』と最初は思ったんですよ。でも、私の場合は第三者を介入しないとなにも動かない状況でした。たしかに、管理職の目線でみると退職代行の利用に納得いかないこともわかります。『えっ、そんなことで使うの?』と戸惑うこともあります」

「ただ、本人にとってどうしようもないことはあるんですよね。『気軽に使うのはちょっと……』と思いますが、退職することを伝えられないのであれば退職代行を使うのはひとつの正解なのかもしれません」

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中 たんぺい フリーライター

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なか たんぺい

1989年生まれ。グルメ・テック・Webエンタメに関わるヒト・モノ・コトの魅力を深掘りするライターとして活動を行う。メーカー勤務10年を経て独立。群馬県在住。

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