ニューヨーク・タイムズが入手した従業員向けメモによると、メタは10月22日にAI部門で約600人の人員を削減した。
人員削減は、メタでAI関連事業を統括する「スーパーインテリジェンス(超知能)ラボ」で行われた。同部門には約3000人の従業員が所属しているが、正確な人数は明らかになっていない。
スター集団獲得で「2軍」に戦力外通告
CEOのマーク・ザッカーバーグは今年に入り、新たな最高AI責任者としてアレクサンダー・ワンを迎えるなど、トップAI研究者を積極的に採用しており、これらの新規採用者は今回の人員削減の対象とはならなかった。彼らには、人間の脳を超える超知能の開発が託されている。
事情をよく知る2人の関係者によると、今回の削減は、過去3年間にメタがAI事業を急拡大しすぎた結果として生じた組織の肥大化を是正する目的で実施された。狙いは、人員整理によってAI製品の開発を加速することだという。
「チームを縮小することで、意思決定に必要な会話が減り、各メンバーがより多くの責任と裁量を持ち、より大きな影響力を発揮できるようになる」とワンは社内メモに記した。
ニュースサイト「アクシオス」がいち早く報じた今回の人員削減は、メタにとっては、AIの急速な進展に対応してきたこの3年間の中でも、とりわけ競争の激しい時期での実施となった。2022年に「チャットGPT」が登場して以来、オープンAI、グーグル、マイクロソフトなどが次世代AIチャットボットや関連製品の開発に向け、猛烈な勢いで人材獲得を行った。
フェイスブック、インスタグラム、ワッツアップを傘下に持つメタは、他社に追いつくのに苦戦してきた。オープンソースのAIモデル「Llama(ラマ)」の開発は一時的に成功を収めたものの、その後は停滞。人材獲得で攻勢に打って出たが、戦略的な判断ミスにより、ここ18カ月間は製品開発に問題が生じていた。


















