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オープンAIが「普通の営利企業」に変わる意味。ウォール街での大規模IPOの可能性も見えてきた

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(写真:Mike Kai Chen/The New York Times)

オープンAIは10月28日、営利目的の新たな組織構造に移行したと発表した。かねて求められてきたこの組織改編により、伝統的な企業に近い事業運営が可能となり、巨額のAI開発資金を調達しやすくなる。

以前から広く予想されていたこの動きは、オープンAIの将来を左右する重要要素の1つとみなされていた。今回の組織改編により、人気チャットボット「チャットGPT」の開発元であるオープンAIは、ほかの企業と同様の資金調達が可能となり、ウォール街での大型IPO(新規株式公開)の可能性も出てきた。

AIブームにおけるテクノロジー業界の主要企業の1つとしての地位を確固たるものにし、グーグル、アマゾン、メタといった巨大企業と、一段と強固な基盤で競争できるようになるということだ。

オープンAIのCEOサム・アルトマンをはじめとする幹部らは過去18カ月以上にわたり、非営利団体と営利企業を組み合わせたオープンAIの特殊な組織構造の見直しに取り組んできた。28日の発表は、10年前に設立され、強い影響力を持つようになったオープンAIが、今後どのように運営されていくのかについて、一定の明確さをもたらすものとなった。

アンソロピックやxAIと同じ形態に

ブログの記事でオープンAIは、「パブリック・ベネフィット・コーポレーション」(PBC)になったと述べた。PBCは公共の利益と社会善の創出を目的とする営利企業で、アンソロピックや、イーロン・マスクが所有するxAIといったオープンAIのライバル企業も同様の組織形態を採用している。

オープンAIは、多くの企業と同じく登記上の所在地となっているデラウェア州と、本社を置くカリフォルニア州の司法長官との交渉を経て、今回の組織再編を完了したと発表した。

両州の司法長官は、オープンAIに批判的な人々からロビー活動を受けており、訴訟によって今回の組織再編を阻止する可能性もあった。カリフォルニア州の司法長官ロブ・ボンタは、ニューヨーク・タイムズとの最近のインタビューで、チャットGPTと若者との関わり方に強い懸念を示していた。

「オープンAIはカリフォルニア州で登録されている慈善団体だ。私たちには、オープンAIが全人類に利益をもたらすといった使命を確実に果たさせる義務がある」

そのボンタが組織改編を認めたことで、設立以来オープンAIを支配してきた非営利団体は、約1300億ドル(約20兆円)相当の同社株を保有することになった。これにより、現在「オープンAI財団」と呼ばれるこの非営利団体の保有資産は、マイクロソフトの共同創業者であるビル・ゲイツとその元妻メリンダが設立したゲイツ財団の860億ドルをはるかに上回り、アメリカで最も価値の高い財団となった。

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