「脂肪」は私たちの健康の敵ではないといえる根拠 分子生物学者が三大栄養素を化石燃料に例えてみた

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脂肪のかたまり
分子生物学の観点では「脂肪は敵ではない」そうです(写真:midori_chan / PIXTA)
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分子生物学という分野は、医療、産業、環境など社会への広範な影響を及ぼすだけでなく、生物学的な<わたし>という存在への理解を深めるにも役立ちます。
私たちの体に不可欠な三大栄養素も、分子生物学の観点から見ると、ダイエットの敵と言われている「脂質」ですら違った見え方になります。慶應SFCの人気教授、黒田裕樹さんが解説します。
※本稿は『希望の分子生物学: 私たちの「生命観」を書き換える』から一部抜粋・再構成したものです。

生物の定義の中で栄養摂取、および代謝(生物学的な反応や物質変換)を行うことは必須の特徴とされています。

栄養摂取によって取り入れられた栄養素は、代謝によって分解、変換、利用されます。このことを、たとえを交えて考えてみましょう。

化石燃料と三大栄養素の比較

石炭、石油、天然ガス。これらは、火力発電所で使用される典型的な燃料であり、化石燃料とも呼ばれます。燃料と酸素が反応して発生する高熱で水を沸騰させ、そこで発生した蒸気を利用してタービンを回し、発電機を駆動しています。

生物の細胞の中でも似たプロセスが行われており、人間社会における石炭、石油、天然ガスは、細胞の世界ではタンパク質、脂肪、炭水化物に置き換えて捉えるという見方もできます。

しかもこれらは、先述した化石燃料の主成分と同じく、すべて有機物(炭素を主成分とする化合物)でできています。

化石燃料は、基本的に過去の生物由来の有機物が地球の地殻変動に伴う高温や高圧による化学変化を経て形成されたもので、化石燃料と三大栄養素との間には深い関係が存在します。生物学を学ぶ際には三大栄養素の理解が必須です。

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