「脂肪」は私たちの健康の敵ではないといえる根拠 分子生物学者が三大栄養素を化石燃料に例えてみた

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炭水化物は、主に米やパン、麺類、ジャガイモなどに含まれる大型分子です。炭水化物は摂取後、消化の過程で分解されて小型分子のブドウ糖となります。

タンパク質は肉、魚、豆類、卵、乳製品などに含まれる大型分子です。タンパク質も消化の過程で小型分子のアミノ酸に分解されます。

脂質は、油やバター、ナッツ、アボカドなどに多く含まれる分子であり、前記の2つと比べると小型です。摂取・消化されると、脂肪酸とグリセリンに分解されます。

ミトコンドリアは火力発電所

冒頭の比喩における火力発電所は、細胞の中ではミトコンドリアに相当します。ミトコンドリアでは、これらの三大栄養素を利用してエネルギーを生成し、私たちの体内で電池のような役割を果たす分子を充電します。

具体的には、空っぽの電池に相当するADP(アデノシン二リン酸)を、満タンの電池に相当するATP(アデノシン三リン酸)に変換するのです。

希望の分子生物学
(出所)『希望の分子生物学:私たちの「生命観」を書き換える』

※外部配信先では図や画像を全部閲覧できない場合があります。その際は東洋経済オンライン内でお読みください

三大栄養素がミトコンドリアに取り込まれる際には、分解されたあとの小分子の状態、あるいはその小分子にいくつかの化学変化を加えた状態が用いられます。その後、ミトコンドリア内部で複雑な代謝反応を経て、その過程で水素イオンをミトコンドリアの外膜と内膜の間に集積します。

集積された水素イオンが、タービンのような分子であるATP合成酵素を通過することによって、大量のATPが生成されます。このATPを用いることで、私たちは必要な時に体の必要な部位を動かせているのです。

三大栄養素の中でも、脂質については、世の中で正当な評価を受けていないと常々思ってきました。ここでは、脂質がいかに秀逸な栄養素であるのかについて、説明を加えさせてください。

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