高輪ゲートウェイ周辺開発でルミネが描く独自性 「ファッション業界は挑戦する姿勢が薄まっている」

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――では、業績についてはどう考えていらっしゃるのですか。

:先ほども申し上げたように、未来を切り拓いていくために、利益を上げることは大事です。2023年度に向けては、当初、コロナ禍前より低い目標だったのですが、私が着任してから、コロナ禍前を超える目標に変えました。これもまた、挑戦のひとつととらえ、知恵を出し合って進めているところです。

アジア勢に抜かれている

:最近、中国と東南アジアに出張し、その成長ぶりに驚かされました。新しいブランドが数多く登場しているのですが、クオリティもデザインも精度が高い。きちんとした価値づけがなされているので、それなりの価格でも売れているのです。

――かつてアジアのファッション業界では、日本がクオリティもデザイン性も高いと評価され、憧れのブランドだったのですが、そうではなくなりつつあるということですね。

:シンガポールとジャカルタのルミネは、ローカルブランドと日本ブランドを並べて売っているのですが、今回、訪れてみて、メイドインジャパンの価値が相対的に落ちていると感じました。少し過激な言い方をすれば、急成長を遂げているアジアの国と日本の地位が逆転しかねないということです。

――店頭を見ていると、似たような服がたくさん並んでいて、ショップの看板をはずしたら区別がつかないと感じることもあります。

:売れ筋を押さえておけばそこそこ売れる。そんな安全路線をとっているブランドもあると思います。が、お客様の目から見れば、選択肢を狭めているに過ぎません。

――コロナ禍を経て、大きく変わるかもと期待していたのですが。

:コロナ禍が一段落し、円安の追い風もあってインバウンドがもどってきたので、従来のやり方のままでそれなりの成果が出るのでしょうが、事はそう容易ではない。中長期的な視点で見れば、変えなければ生き残っていくのは難しい。もっと危機感を持った方がいいと思います。

――その意味では、ファッションビルという業態も、同質化が進んでいるように感じます。次々と進んでいる大開発には、必ず商業施設が組み込まれていて、似たようなブランドが似たような商品を並べている。そんなイメージがあるのですが、ルミネはどんな独自性を出していこうと考えていますか?

:最新の開発は、「TAKANAWA GATEWAY CITY」の商業部分をルミネが担当します。これはJRグループが「100年先の心豊かな暮らしのための実験場」にしようと総力を挙げて取り組んでいるプロジェクトで、ゼロから企画を練っているところです。

JRグループが、これだけの規模で実験的な試みを興すのは珍しいことで、未来に向けた“ルミネらしさ”を徹底してかたちにしようと考えています。

「TAKANAWA GATEWAY CITY」は品川とつながり、日本のハブ拠点となっていく立地でもあります。日本だけでなく、世界から独自性のあるモノやコトを探し、幅と奥行きのある選択肢を揃えて発信していこうということです。

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