近年、気管支ぜん息(以下、ぜん息/喘息)が、労働生産性を下げるとの研究が報告されている。一度始まったら止まらない強い咳のせいで、夜中に眠れなくなったり、仕事や家事に集中できなくなったり……たかが咳ではない。そのつらさは経験した人にしかわからないだろう。
意外と知られていないが、ぜん息は、成人になってから初めて発症するケース、子どもの頃にかかって一度治ったあと、成人になって再発するケースがあることがわかっている。成人では有病率が3〜5%程度とされており、決してひとごとではないぜん息について、日本大学医学部呼吸器内科学分野主任教授の權寧博(ごん・やすひろ)医師に聞いた。
「呼吸がしにくい」という恐怖
ぜん息は、空気の通り道である気道が発作的に狭くなり、息がしにくくなる病気だ。喘の訓読みは「あえぐ」であるように、呼吸のたびにヒューヒュー、ゼイゼイする喘鳴(ぜんめい)、息苦しさ、胸を締め付けられるような感じ、咳、痰などの症状が表れる。
「患者さんによっては、呼吸がしにくいことで恐怖感を覚える人もいます。狭くなった気道は自然に、または治療によって元に戻るため、その後は無症状ですが、何らかのきっかけで発作を繰り返すのが特徴です」(權医師)。
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