中年期に差しかかると、健診で数値が引っかかりやすい身近な項目の1つがコレステロールだ。しかし、善玉、悪玉などの名称は聞いたことがあっても、その役割や、なぜ下げたほうがいいのかという理由について知る人は、意外と少ないのではないだろうか。
元帝京大学医学部長で、長年、わが国の循環器内科分野をリードしてきた、寺本内科・歯科クリニック内科院長の寺本民生さんにコレステロールとの正しい付き合い方、怖がり方についてアドバイスをもらった。
コレステロールは、ヒトの体に存在する脂質の一種だ。
体を構成する細胞膜の約50%はコレステロールからできているだけでなく、細胞は自分でコレステロールを合成することもできる。性ホルモン、ステロイドホルモン、食事の中の脂肪を吸収しやすくする胆汁酸も、コレステロールを原料としている。
体にとってはとても重要であり、コレステロールがないと人は生きていけない。しかしその一方で、生活習慣病の1つである脂質異常症の原因としての側面もあり、悪いイメージがある。
悪玉 善玉といわれるワケ
コレステロールの7〜8割は、体内にある糖や脂肪を材料にして肝臓で合成され、残りの2〜3割は食べ物などから取り入れられる。
そして血液を介して全身に運ばれていくが、コレステロールは脂質なので、血液中には溶け込まない。そこで、タンパク質という“乗り物”に乗ってリポタンパク質という状態で、血液中を移動する。
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