血液中にあるコレステロールは、大きくLDL(低密度リポタンパク質)とHDL(高密度リポタンパク質)に分けられる。本稿では、前者をLDLコレステロール、後者をHDLコレステロールを呼ぶ。
LDLコレステロールは血液を介して全身に運ばれ、細胞膜やホルモンの材料となるが、食事の量が多すぎたり、脂質、特に動物性脂肪が多い食事を摂りすぎたりすると、処理しきれなくなる。そして、動脈の壁にくっついて溜まりはじめる。
このLDLコレステロールが動脈硬化の原因となることから、「悪玉コレステロール」といわれている。
一方、HDLコレステロールは動脈壁にくっついているコレステロールを除去・回収する役割を果たしている。このため「善玉コレステロール」と呼ばれる。
つまり、LDLコレステロールが増えすぎるだけでなく、HDLコレステロールが少なすぎるのも、動脈壁のコレステロールの回収がうまくいかず動脈硬化につながるので、問題となる。
要注意なコレステロール値
寺本さんによると、生まれたばかりの赤ちゃんのLDLコレステロールは、50〜100mg/dL程度だ。それが長年の食生活により少しずつ増えていき、多くの人は140mg/dL近くまで上がるそうだ。
現在のLDLコレステロールの基準値は140mg/dLで、それよりも高い数値の状態が持続すると、動脈硬化によるさまざまな病気が発症する危険性が高まってしまう。
現在、コレステロールに関する健康診断の基準値は、LDLコレステロールのほかに、総コレステロール、HDLコレステロール、Non HDLコレステロールがある。Non HDLコレステロールは、総コレステロールからHDLコレステロールを差し引いた数値をいう。
「詳しいことは省きますが、コレステロールの中にはLDLコレステロール以外の悪玉コレステロールも存在します。悪玉の総和をシンプルに知ることができるのが、Non HDLコレステロール値です」と寺本さん。
また、血液検査でコレステロールを調べる場合、空腹時に採血する必要があるが、Non HDLコレステロールは食後に測っても値が左右されないという利点がある。
そのため、日本動脈硬化学会『動脈硬化性疾患予防ガイドライン』(2017年版)から、総コレステロール、LDLコレステロール、HDLコレステロールに加えて、Non HDLコレステロールも重視するようになり、健診で調べることが推奨されている。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら