大人でも発症「ぜん息」注意すべき季節と"前ぶれ" 実態調査「症状を抑えられず仕事や生活に支障」

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では、なぜ症状がコントロールできないのか。「まず考えられるのは、吸入薬の使い方が誤っていること」と權医師は指摘する。その可能性は以下のとおりだ。

・息をしっかり吐いた後に吸入器をくわえて吸う、という動作ができていない
・薬を吸う勢いが弱すぎる
・吸入薬を所定の回数で使用していない

ただし、なかには吸入薬を正しく使用してもコントロールできない、重症の人がいるのも事実。アレルギー性鼻炎などほかのアレルギー疾患や、胃酸が逆流して食道の粘膜を荒らす逆流性食道炎、肥満などの病気が背景にあることもあり、その場合は、ぜん息と並行して合併症の治療も必要となるそうだ。

「症状なし」で暮らせる時代に

基本的な吸入薬を正しく使用したり、合併症の問題に対処したりしても薬の効果が不十分なときは、ステロイドを含む3成分を1つの吸入器に配合した「トリプル吸入薬」、あるいは従来の薬と違う効き方をする「抗体薬」を使う。いずれもこの10年ほどの間に新薬が相次いでいる。

最後に、長く治療をしている人が陥りやすい問題について、權医師はこんな注意喚起をする。

「診察室で、『変わりないですか?』『大丈夫です』という会話があるとしましょう。この“大丈夫”が、『子どもの頃からこうだから』『日常生活は何とか送れているから』という意味であれば、病気を十分にコントロールできていないと考えられます」

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ぜん息歴が長くなると、日々の生活や仕事に本当は不自由があるのに何となくそれが普通と思ってしまうものらしい。「でも、それを当たり前だと思わないでください。今は、ぜん息であっても症状なしで暮らせる時代です」と權医師。

意識していなかったが、思い返せば症状が月に何回か出ている──。例えばそんな状態なら、改めてかかりつけの医師に相談してみてはどうだろうか。

(取材・文/佐賀 健)

日本大学医学部内科学系呼吸器内科学分野主任教授
權 寧博医師
医学博士。1992年、日本大学医学部卒業。2007年、日本大学医学部准教授。2018年より現職。喘息などの呼吸器疾患を専門とし、医師向けの診療ガイドラインである「喘息予防・管理ガイドライン」(日本アレルギー学会)、「喘息診療実践ガイドライン」(日本喘息学会)などの作成にも携わる。
東洋経済オンライン医療取材チーム 記者・ライター

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とうようけいざいおんらいんいりょうちーむ / TKO Iryou-Team

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