エンゼルスからフリーエージェント(FA)となった大谷翔平。9月にはInstagramで手術を受けたことを明かしていた。大谷が右肘にメスを入れるのは2018年10月1日以来2回目だ。手術の目的は、前回も今回も、損傷した右肘の内側側副靭帯の再建、あるいは修復だとされる。
一流の投手にとって「投げる側の腕」の肘内側靭帯の損傷は「宿痾」のようなものだ。かつては、肘の靭帯が断裂してしまえば「打つ手」はなかった。多くの投手が右肘に痛みを感じながら投げ続け、中には「ぶちっ」という靭帯が断裂する音を聞いて、キャリアも断裂したことを悟った投手もいた。
「トミー・ジョン手術」が生まれた経緯
この状況を劇的に変えたのが、ロサンゼルス・ドジャースの医療顧問を務めていたフランク・ジョーブという整形外科医だ。
ジョーブは1974年、左肘の靭帯を断裂し、投げられなくなった31歳のドジャースの先発投手、トミー・ジョンに対して損傷した靭帯を切除し本人の身体の他の部位の正常な腱の一部を移植するという手術を施した。トミー・ジョンはリハビリを経て1976年に一線級の投手として復活。左肘靭帯を断裂するまでの成績が124勝106敗なのに対し、復帰してからは164勝125敗、20勝を3回も記録し、通算288勝の大投手になった。
この奇跡の復活から、この手術は「トミー・ジョン手術」と言われるようになり、多くの投手、そして捕手や野手も手術を受けるようになった。
日本でも村田兆治や桑田真澄が、フランク・ジョーブの執刀で手術を受け、復活を果たしている。
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