大谷翔平も?「トミー・ジョン手術」が急増したワケ 日本のエースは高校時代から肩肘を酷使してきた

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トミー・ジョン手術によって野球界は劇的に変わったと言ってよい。ネット上で公開されている資料(Tommy John Surgery List)によれば、メジャーリーガー、マイナーリーガーでこの手術を一度以上受けた選手は2396人に上る。

 1970年代 2件
 1980年代 35件
 1990年代 110件
 2000年代 500件
 2010年代 1316件
 2020年代 433件

20世紀の間は、年に数件しか行われていなかったトミー・ジョン手術は2010年代以降、爆発的に増えている。

これは術例が増えてその効果と安全性が証明されたからだろう。投手の職業病ともいえる肘の靭帯損傷の「特効薬」ができたのだから当然の話だ。

「投球の高速化」という問題

しかし一方で、21世紀以降、靭帯を損傷する投手が急激に増えているという事実もある。その背景には「投球の高速化」がある。

投手の肘の損傷の要因としては、以下の5つの要因が挙げられている。
1. 投球回数(球数)
2. 投球頻度(登板間隔)
3. 投球強度(球速)
4. 投球フォーム
5. マウンドの固さ、ボールの触感など

MLBは球数制限を設け、登板間隔も厳格に守っている。それでもトミー・ジョン手術が増えているのは、近年の急激な「投球の高速化」がある。10年前には「100マイル=約161㎞/h」の速球を投げる投手はキューバ出身のアロリディス・チャプマンなど数人だったが、今では25人を超えているとされる。

エンゼルスの大谷翔平や、オリオールズの藤浪晋太郎もその一人だ。これは「生体力学(バイオメカニクス)」の導入により、投手が身体能力を最大限に生かすことができるようになったことが大きい。

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