激安「SHEIN」よりも安い!新興EC「Temu」の衝撃 SHEINは新山千春のウェディングドレスで話題

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だが驚異的なスピードでGMVが伸びていることからもわかるように、これらの批判は短期的には業績の打撃にはなっていない。物価高が続く中、「安さこそ正義」と考える消費者がそれだけいるということだ。

両社にとって経営に深刻な打撃を与えうる真の脅威は、「競合」「物流」そして「政治」の3要素だ。

TemuとSHEINはアメリカでアマゾンのシェアを確実に切り崩している。日本経済新聞の11月12日付の記事によると、10月のTemu、SHEINの利用者はのべ約1億1000万人と1年で4倍に増え、アマゾンの9割に迫るという。

TikTokも参戦し争いは激化

しかしSHEINの後を追うTemuに続き、アメリカで1億5000万人が利用するショート動画TikTokのEC事業「TikTok Shop」も今年9月同国に上陸し、アリエクスプレスも含めた中国勢の戦いも激化している。ブラックフライデーからクリスマスにかけた年末商戦は、アマゾンなどアメリカ勢も入り乱れたマーケティング戦争となり、コスト増大につながっている。

2つ目の脅威は物流面の負担だ。Temuは商品が激安なうえに市場拡大を最優先しているので、当然ながら日々赤字を垂れ流している。米中メディアの分析によると、注文1件あたりのコストは平均32ドル(約5000円)で、マーケティング費用と物流費用が大部分を占め、後者の費用は8~9ドル(約1200~1300円)と試算されている。

Temuは中国で広東省を中心に30超の倉庫を運営し、海外の消費者が商品を注文すると、通常は中国の倉庫を中継し海外に発送される。国内と海外でそれぞれ別の物流業者に委託しており、コスト高は避けられない。Temuの急成長とサプライヤーの増加に倉庫が追いつかず、今年3月には倉庫がパンクして一時出荷できない状況に陥った。

SHEINは広州市にサプライチェーンを集約し、同市から商品を発送しているが、2021年から2022年にかけて海外進出を一気に進めた結果、ヨーロッパやアメリカでは注文から配送までに2週間ほどかかり、顧客体験が下がるという課題が生じた。

同社は配送日程の短縮に向けアメリカやヨーロッパで物流センターを設置するとともに、今年5月にグローバルでマーケットプレイスを開設すると発表した。それまでは自社ブランドのみを取り扱ってきたが、アマゾンや楽天市場のように、現地の事業者に出店してもらうことで、品ぞろえを充実させ、配送期間の短縮も狙う。

TemuもSHEINと同様に海外倉庫の構築に着手し、マーケットプレイスの開設準備を進めている。11月15日には各国の船会社との提携が報じられた。

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