激安「SHEIN」よりも安い!新興EC「Temu」の衝撃 SHEINは新山千春のウェディングドレスで話題
Temuは日本に上陸して以来、アプリのダウンロード数でつねにトップ争いをしている。だが原宿にショールームを設置したSHEINのような派手な動きはなく、辟易とする頻度で送られてくるアプリの通知は相変わらずやや不自然な日本語だ。
関係者によるとTemuにとって日本は重要な市場ではなく、テストマーケティングの状態が続いているという。同社にとって最も重要なのは売上高の60%を占めると言われるアメリカ市場であり、今後の成長が見込まれる南米や東南アジアも日本市場より優先しているようだ。
アメリカではTemuとSHEINの戦いがヒートアップしている。ブルームバーグはTemuのアメリカでの売り上げが今年5月にSHEINを約20%上回り、9月には2倍を超えたと報じた。
中国の報道によるとTemuはFacebookとGoogleを中心に、7月以降毎日1000万ドル(約15億円)規模の広告を投下し、SHEINも広告費として1日800万ドル(約12億円)を支出しているという。
広州市(広東省)の本部オフィスが800メートルしか離れていない両社は、顧客だけでなくサプライヤーも奪い合っている。
Temuがアメリカで事業を始めた際は、同国消費者向けの商品をそろえるため、SHEIN、アマゾン、Shopifyなど著名ECプラットフォームで販売実績があるサプライヤーを優遇し、特に広東省に集積するSHEINのサプライヤーを好条件で引き抜いたとされる。
戦いは司法の場にも及ぶ
両社の戦いは司法の場にも及び、SHEINは昨年12月、「Temuが起用したインフルエンサーがSHEINの評判を落としたりSHEINになりすます投稿を行い、消費者を誘導している」と主張し、損害賠償を求める訴えを起こした。
対してTemuは今年7月、SHEINが衣料品や雑貨のメーカーにTemuと取引をしないよう強要したなどとして、アメリカの反トラスト法(独占禁止法)違反の疑いで提訴していた。
両社は10月26日にそれぞれ訴えを取り下げたが、「取った取られた」を巡る争いは水面下で続くだろう。
SHEIN、Temuは知名度が上がるにつれ、環境や人権に配慮する「エシカル消費」「SDGs」に逆行していると批判を受け、サプライチェーンが強制労働に関わっているとの疑惑も取りざたされている。SHEINは大手ブランドから著作権侵害で訴えられてもいる。
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