必死に生きようしている、それだけなのに
青木達也(以下、青木):正直、「こういう非常にシビアな現実について問題提起するノンフィクション作品を、ドラマにできるのかな」と最初は思いました。
ただ、このドラマの原書『東京貧困女子。』に登場する取材対象の女性たちが、誤解を恐れずに言えば、魅力的に見えたんですね。たとえば、彼氏と一緒にいない間ずっとLINE電話が繋がっているという女性が出てきます。これは共依存的で、ある種、異常な関係性なのですが、そうまでして繋がろうとする心理には興味を引かれました。逆に親との繋がり、地域との繋がりを断つという、厳しい選択をした女性も登場します。
高羽彩(以下、高羽):「繋がり」が大事といっても、誰でもいいから繋がってさえいればいいわけではないんですよね。今回のドラマでも、かつて大きな負担となってきた配偶者との関係が切れて「正直、ホッとしました」と明かす女性も登場すれば、どうしても強い情から肉親との繋がりを断つことができずに金銭的な負担を強いられ、富裕層から今日の食事にも困る貧困へと転落してしまった女性も登場します。
青木:夫が職場でパワハラにあって鬱病になり、離婚した女性(第2話)と、両親の死後、精神疾患を抱えていた姉を遠距離介護していた女性(第3話)ですね。