「教育虐待」が生んだ23歳女性の貧困、娘の人生を壊した《毒親一家》が背負う十字架のこの上ない重さ

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母親から教育虐待を受け続けた環奈さん。塾帰りの小学生を見ると、今もかつての忌まわしい記憶がよみがえる(写真:編集部撮影)

「歩いていて突然涙がめちゃくちゃ止まらなくなったり、過去がフラッシュバックして死にたくなったり、もう限界かもしれません」

2年前に取材した貧困女子大生・堀之内環奈さん(仮名、23歳)から、そんなメールがきた。彼女は長期間に及んで、主に母親から虐待を受けてきた。大学在学中に実家から逃げて、そのまま中退。そのときは生活するために歌舞伎町で夜の仕事をしながら、安アパートで暮らしていた。

環奈さんに対する母親の虐待と、過干渉は異常だった。母親が現在暮らしているアパートを探すことができないように、自治体に住民票閲覧制限を請求している。環奈さんに対して「死ね」「殺す」などの発言があったことが決め手となって請求は認められた。

「苦しくなったキッカケは、塾帰りの小学生の後ろ姿でした。私が母親から強制的にさせられた自宅学習とか、ずっと続いた受験勉強がフラッシュバックして、歩きながら涙が止まらなくなりました。せっかく勇気を出して、苦労して実家から逃げたのに、それから毎日のように苦しくなります」

"娘のため"から生じた虐待

教育虐待とは、親に過度な期待やプレッシャーをかけられて勉強を強制されること。子どもの意向を無視して強制的に勉強をさせると、どこかのタイミングで関係が破綻するだけでなく、精神的に傷やダメージを負ってその後の人生が生きづらくなる。

環奈さんには発達障害があり、親から逃げて自立をしてからも仕事を安定して続けることができない。貧困に近い状態で苦しんでいる。一昨年から2歳年上のパートナーと同棲をするようになったが、相手も非正規労働者であり、2人で暮らすようになっても貧困から抜け出せないでいる。

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