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ライフ #貧困に喘ぐ女性の現実

「教育虐待」が生んだ23歳女性の貧困、娘の人生を壊した《毒親一家》が背負う十字架のこの上ない重さ

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  • 中村 淳彦 ノンフィクションライター
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家でも過酷な状況は続いた。母親は中学受験失敗で諦めることはなく、学校の予習と復習、塾の予習と復習を強制された。部活から帰ってすぐに塾。帰宅して23時頃まで自宅学習というスケジュールで、点数が低かったり、間違いがあると物差しで叩かれた。機嫌が悪いときの殴る蹴るの暴力も続いた。

「中学生になって、母は普通じゃないと理解しました。私はどれだけ勉強しても、成績がトップになることなんて絶対に無理ということが伝わらないし、普通の親は暴力をふるわないってこともわかった。中学校の保健の先生とかカウンセラーの先生に相談したけど、『それはお母さんの愛情』とか言われた。まともに取り合ってもらえませんでした」

ある日。学校から帰ったとき、玄関に母親が仁王立ちしている。ビンタをされて蹴り飛ばされた。「お前、チクったな」と怒鳴っていた。

「先生にチクったって激怒して、ボコボコに殴られました。無能とか、この猿とか、『私がこんなにしてあげてんのに!』って絶叫していました。高校受験はトップの都立高校は先生からどう考えても難しいと言われて、母親が選んだ推薦で入れる私立女子高校に行きました」

高校2年生のときに始まった兄からの性暴力

高校生になっても、母親の教育熱はおさまらなかった。予備校のパンフレットをたくさん持ってきて、「最低でも大学はMARCHに進学しなさい。そうしないと恥ずかしい」と予備校に通うことになった。

「兄の性暴力がはじまったのは、高校2年生のとき。高校2年の夏から逃げるまでずっと。母親がいない昼間とか休日とか、深夜とかに兄が私の部屋にきて無理やりです」

行為の詳細は書かないが、高校2年生のときから兄に日常的に性虐待をされている。兄は名門校に進学、野球部で活躍しながら現役で一流大学に合格した。母親は長男の結果に歓喜の声をあげ、常に「息子だけは本当に素晴らしい」と何度も何度も褒めたたえていた。

兄からの性虐待は日常となった。誰にも言えない。その現実が母親に伝わったら、自分が母親からなにをされるかわからない。兄からどんな虐待をされても、拒絶する声もあげられず、されるがままになるしかなかった。家族と自分自身の過酷な現実に心から絶望した。

「もう、家から逃げ出すしかないと思っていました。母と兄への嫌悪感とか恨みみたいなものがすごくなって、父親も私とはなんの関係のない人だと割り切りました。兄がそんなことをしたのは、母に褒められて可愛がられている自分は偉い、それで母にいつも罵られている妹にはなにをしてもいい、みたいな感覚だったのだと思います」

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【環奈さんが選んだ“家族の終わり”】

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