人生の選択には時に後悔が伴う。一方、ないものとされてきたのが「母親になったことへの後悔」だ。母になる=幸福である、という強固な社会通念があるからだ。幸せな母親が無償の愛を注ぎ、家族は維持されている。が、この思想によって見過ごされてきた母親たちの深刻な現実がある。後悔を語った日本の母親たちを、女性2人が掘り下げた。
──本書はイスラエルの社会学者オルナ・ドーナト氏による『母親になって後悔してる』からヒントを得ています。
依田真由美 最初にこの本を見たときは、タイトルの「後悔」という文字が怖かった。自分の母のことを重ねてしまったからだ。私は母が同様の後悔をしているのではと思ってきて、自分の存在を否定されたようにも感じていた。
実際には、著者のインタビューに答えた母親たちは子どもを否定したいのではなく、社会から押し付けられた母親の役割に後悔している、という内容だった。同書はイスラエルの話だが、日本にも同じ思いを抱えた母親たちがいるのではないかと取材を始めた。
──母親自身が「後悔」を抱くことをタブー視している場合、本音を引き出すのは難しそうです。
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