「母親は大変だけど幸せ」の先にある過酷な現実 『母親になって後悔してる、といえたなら』著者に聞く

✎ 1〜 ✎ 475 ✎ 476 ✎ 477 ✎ 478
著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小
『母親になって後悔してる、といえたなら 語りはじめた 日本の女性たち』著者の髙橋歩唯氏と依田真由美氏
[著者プロフィル]
(写真左)依田真由美(よだ・まゆみ)/NHK報道局報道番組センター 社会番組部ディレクター。1988年生まれ。2015年にNHK入局。札幌放送局を経て報道局社会番組部ディレクター。若者やジェンダー問題等を取材

(写真右)髙橋歩唯(たかはし・あい)/NHK報道局取材センター 国際部。1989年生まれ。2014年にNHK入局。松山放送局、報道局社会部記者を経て現職。家族の形をテーマに取材(撮影:今 祥雄)
人生の選択には時に後悔が伴う。一方、ないものとされてきたのが「母親になったことへの後悔」だ。母になる=幸福である、という強固な社会通念があるからだ。幸せな母親が無償の愛を注ぎ、家族は維持されている。が、この思想によって見過ごされてきた母親たちの深刻な現実がある。後悔を語った日本の母親たちを、女性2人が掘り下げた。
母親になって後悔してる、といえたなら:語りはじめた日本の女性たち
『母親になって後悔してる、といえたなら:語りはじめた日本の女性たち』(髙橋歩唯、依田真由美 著/新潮社/1650円/288ページ)書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします。

──本書はイスラエルの社会学者オルナ・ドーナト氏による『母親になって後悔してる』からヒントを得ています。

依田真由美 最初にこの本を見たときは、タイトルの「後悔」という文字が怖かった。自分の母のことを重ねてしまったからだ。私は母が同様の後悔をしているのではと思ってきて、自分の存在を否定されたようにも感じていた。

実際には、著者のインタビューに答えた母親たちは子どもを否定したいのではなく、社会から押し付けられた母親の役割に後悔している、という内容だった。同書はイスラエルの話だが、日本にも同じ思いを抱えた母親たちがいるのではないかと取材を始めた。

──母親自身が「後悔」を抱くことをタブー視している場合、本音を引き出すのは難しそうです。

関連記事
トピックボードAD