インテルはイスラエルの半導体メーカーを買収して得た「Gaudi」シリーズでNVIDIAに対抗する。Gaudiは、AIアクセラレーターと呼ばれるAI処理に特化した半導体製品で、AI処理に特化することでGPUよりも圧倒的に低コストと高い電力効率を実現しており、同じ電力であればGPUよりも高い性能を発揮することができる。
アメリカのAI半導体スタートアップは、さらに特化した製品を提供している。シリコンバレー発のスタートアップであるSambaNova Systems(サンバノバ・システムズ)は、GPUとAIアクセラレーターの中間となるRDUと呼ばれる製品を投入し、特定用途だけでなく、汎用にも使える自由度を確保しながら、GPUよりも電力効率を増やしている。
また、カナダのTenstorrent(テンストレント)はAIアクセラレーターと、最近注目されているオープンソースのCPU「RISC-V(リスクファイブ)」を組み合わせて提供することで、こちらもNVIDIA GPUよりも低コストで高い電力効率をアピールしている。
ファンCEOが自らトップセールス
こうした競合他社の突きあげに対してNVIDIAが現在やっていることは、パブリッククラウドサービスを展開するCSP(クラウドサービスプロバイダー)との協業の促進だ。
今年に入ってからNVIDIAのジェンスン・フアンCEOは、CSPが行う年次イベントに熱心に登場している。6月の「Snowflake Summit 2023」、8月の「Google Cloud Next '23」、9月の「Oracle CloudWorld」など、CSPが行っているイベントの公演に登壇している。そして、Microsoftが11月15日からアメリカで開催した「Ignite 2023」でも、MicrosoftのAzureでNVIDIAの最新GPUが採用されることが明らかにされている。
フアンCEOが自らこうした「トップセールス」を行っているのは、2つの理由が考えられる。
1つ目はすでに企業が自社で所有しているデータセンターには十分なGPUが入っているような状況で、次の新しい市場拡大としてクラウドが自然な方向性であること。2つ目はクラウドサービスプロバイダー経由で提供してもらうことで、初期投資が高いというGPUの弱点をある程度覆い隠せるからだ。
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