西側メディアが真のジャーナリズムに立ち返ったのか。いやそうではない。イスラエルとガザの紛争という新たなる戦争が起き、アメリカも、二兎を追うことが財政的に不可能になってきたからであった。
早速ウクライナへの支援のストップが問題になった。もう少しでの援助で勝利が得られれば、援助の切り捨てなどはありえない。とすると、勝利はありえず、もはや負け戦であり、支援が無駄であることを認めざるをえなくなったということかもしれない。
これはいわば勝利を信じてきた人々にとって青天の霹靂であり、正義の勝利を信じた人々は戸惑いを隠せないはずだ。金の切れ目が縁の切れ目という言葉のように、停戦はやむをえないことなのか。
2023年6月攻勢の経緯
ロシア側(中国、インドなどを含む)の報道も使いながら、2023年6月のウクライナ攻勢のこれまでの状況を見てみよう。
ロシアは2022年秋、同年2月以降拡大していた戦線を大幅に縮小した。占領地域をロシアに編入し、国土防衛線を構築し始めた。この撤退が、西側では勝利と見られ、「ロシア弱し」という憶測を生む。
ドンバスからクリミアまで1000キロメートルに長く伸びた戦線は、ロシアのみならずウクライナにとっても、かなり難しい問題を投げつけていた。ロシアはこの新しい国境を守るべく、ドニエプル川の左岸に堡塁を頑強に幾重にもつくりあげていた。
この強力な防衛線を打破するには、どこか1点にターゲットを絞るしかない。そしてクリミアに至るザポロージャからケルソンに至る地域がその対象となる。それが2023年6月4日からのウクライナの総攻撃であった。
ドニエプル川の堤防決壊は、ウクライナ側にとって有利になったはずである。それはロシアがもっているクリミア半島に至る水路を断たれ、なおかつドニエプル川左岸の低地が洪水になったからである。
その後、クリミアとロシアを結ぶケルチやセバストポリの攻撃は、クリミア奪回という目的の旗印となる。
しかしロシアの防衛戦は頑強で、進みえたのはわずかザポロージャ近くのロボチネだけであった。その一方、北のクピアンスクやアフデーフカなどでは、どんどん陣地を失っていった。
しかも、その進撃した地域で何度も繰り返される突撃攻撃は、武器や兵員の損失を増大させるばかりで、ほとんど進展はなかった。
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