ロシアによるウクライナ侵略以来、ロシアと1300キロの国境線で接する北欧の国フィンランドは、北大西洋条約機構(NATO)加盟を実現するとともに、国境にフェンスを築きロシアに対する備えを強化している。
フェンスはロシア軍の侵攻を防ぐことに役立つわけではないが、不法移民の越境を防ぐことによって、ロシアが仕掛ける「ハイブリッド戦争」を抑止する狙いがある。
フィンランドの首都ヘルシンキから鉄道で2時間半。東部の工業・観光都市イマトラから、タクシーに乗って10分ほど走るとフィンランド・ロシア国境のペルコラ検問所に着く。
10月26日、検問所付近から国境沿いに3キロにわたって建設されたパイロットプロジェクト(試験事業)のフェンスが、報道陣に公開された。
高さ3メートルの金網、50メートル間隔の監視カメラ
緑に着色された金網は高さ3メートルで、その上部に有刺鉄線が巻き付けてある。森を切り開き、フェンスとそれに並行して敷設された道路が、起伏を伴いながらはるか先まで続くのが見える。50メートル間隔に立てられた柱の上に監視カメラが設置されている。
周囲は白樺やカラマツが茂る人里離れた場所。幸いキラキラした陽光が降り注ぐ爽やかな天候だったが、気温は摂氏0度。時折身を切るような冷たい風が吹き抜け、白樺の落ち葉が降りかかる。
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