複雑怪奇な国際情勢を読み解くためには、「歴史」と「哲学」を学ぶ必要があります。例えば、現在のウクライナ戦争を理解するためには、ロシアのプーチン大統領を動かしているおおもとの思想を知る必要があるのです。
茂木誠さんと松本誠一郎さんの共著『“いまの世界”がわかる哲学&近現代史 プーチン、全体主義、保守主義』より、プーチンから見たウクライナ戦争の本質を、本文を一部引用・再編集してご紹介します。
エリツィンから見たプーチン
松本:前回はKGB(ソ連国家保安委員会)時代、諜報活動に勤しむドイツ語も流暢なプーチンが、ソ連崩壊後レニングラードに帰ってきて市長を手伝い、そこからエリツィンに見出されて首相になっていった……というお話でした。
ちょうど21世紀になった頃にプーチンは権力を握ります。「首相から大統領に任命される」――これは大きな飛躍だったと思います。茂木先生、このあたりの事情はどのようなものだったのでしょうか。それだけエリツィンから信頼されていたということでしょうか?
茂木:エリツィンが心臓発作を起こしたときに、プーチンを後継者に指名しました。エリツィンから見ると、プーチンは自分に忠誠を誓うKGBの有能な若手幹部の「プーチンにやらせよう」ということだったのでしょう。実際に、プーチンはエリツィンにはまったく逆らっていない。
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